(ブルームバーグ): 中国の自動車市場は2018、19年と2年連続で年間販売台数が減少し、世界一の座を失うかのように見えていた。だが欧米市場が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に苦しみ続ける今、中国は迅速な回復を示している。

  世界中の自動車メーカーにとって、中国はこれまで以上に注目の的だ。中国での乗用車販売台数は2カ月連続で増加。一方で欧州の8月は18%減となるなど、他の主要市場では前年割れが続く。S&Pグローバル・レーティングなどの調査会社によると、19年の販売台数水準を最初に取り戻す主要市場は中国となる見込みだ。

  中国は09年に米国を抜き世界最大の自動車市場となったが、自家用車の普及はまだ十分ではなく、中間所得者層も拡大していることから、市場に成長余地がある。ただドイツのフォルクスワーゲン(VW)やトヨタ自動車、米テスラなど世界的メーカーが中国を重視したからといって、それがそのまま成功につながるわけではない。中国政府が支援する上海汽車集団(SAICモーター)や浙江吉利控股集団、蔚来汽車(NIO)といった中国勢と競い合うことになる。

  コンサルティング会社オートモビリティーの創業者で最高経営責任者(CEO)のビル・ルッソ氏は、「中国ではコロナ後の持ち直しが示されているだけではなく、前年水準を超える販売台数となっている。外国勢は稼げる成長という点で中国に強く依存している」と述べた。

  中国市場の速い回復ペースを裏付けるかのように、コロナ流行後初となる世界的なオートショーが中国で26日に始まる。2020年北京国際自動車ショーには事実上、主要メーカーの全グローバルブランドが参加。先月ニューヨークに上場した電気自動車(EV)メーカーの小鵬汽車など中国勢と共に10日間にわたり世界にアピールする。

  ルッソ氏は「20年に自動車ショーを中国が開催するという事実は中国の状況が安定しており、市場の回復が持続可能である公算が大きいことの証左だ」と指摘した。

  政府が国内のEVエコシステム(生態系)育成に力を入れていることも、中国市場の重要性を高めている。トヨタは6月、北京汽車集団や中国第一汽車集団を含む中国企業5社と商用車向け燃料電池開発で提携すると発表。中国と代替エネルギー源市場に深く入り込みたい考えだ。

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  コンサルティング会社、上海預致汽車諮詢(オートフォーサイト)を創業した張豫氏は「自動車需要がパンデミック後に回復している中国は、自動車メーカーにとって唯一の避難先だ。中国は今後数年の明確な成長潜在力をはっきりと提示している」と話した。

©2020 Bloomberg L.P.