(ブルームバーグ): NTTは29日、株式公開買い付け(TOB)を通じたNTTドコモの完全子会社化について同日に取締役会を開催すると発表した。ドコモも同日に取締役会を開く。両社は開示すべき事実を決定した場合には速やかに公表するとしている。

  完全子会社化を巡っては、日本経済新聞が28日に電子版で一般株主が持つ3割強の株式を株式公開買い付け(TOB)で取得すると報じた。報道によると、グループ一体で次世代通信規格「5G」やIoTに投資して世界での成長につなげるほか、携帯電話料金の値下げを見据えた経営効率化が狙いだという。

  報道を受け28日のドコモの米国預託証券(ADR)は一時前週末比35%高と急伸。29日の東京市場でドコモ株は前日比18%高の3213円まで買い気配を切り上げ、取引が成立していない。ドコモ親会社のNTT株一時は5.8%安。携帯事業で競合するソフトバンクは6%安、KDDIも5.3%安となっている。

  ジェフリーズ証券のアナリストのアツール・ゴヤール氏は28日付のリポートで、完全子会社化すればドコモにとっては有利だが、短期的には携帯料金の値下げのリスクが高まるため、競合するKDDIとソフトバンクにとっては不利になると指摘した。

  ブルームバーグのデータによると、NTTは現在ドコモ株の66.21%を保有。残りの約34%を28日のドコモの株価終値2775円に30%のプレミアムを上乗せした金額で取得すると、買収規模は約4兆円となる。NTTの筆頭株主は財務省で3月31日時点で34.69%を保有している。

  電気通信の安定性の観点から、NTTの発行済み株式総数の三分の一以上を政府が保有することが法律で定められている。シティグループ証券のアナリスト、鶴尾充伸氏はリポートで、NTTが時価発行増資により資金を調達することは難しいとし、TOBの資金は全額手元資金と借り入れで賄うことになりそうとの見解を示した。

  菅義偉首相は大幅な引き下げを実現した諸外国の例を参考に官房長官時代から携帯電話料金の引き下げの早期実現を目指しており、18日には武田良太総務相に引き下げを指示した。前首相が8月に辞意を表明し、後任として菅氏が有力候補として取り沙汰されたのに合わせてドコモの株価は下げ足を強め、9月18日には約1年ぶりの安値水準を付けていた。

  ドコモはNTTの屋台骨を支える収益の柱となっており、4−6月期には営業利益の56%を稼いだ。完全子会社化することで、貢献の割合をさらに引き上げることができる。ドコモは1991年8月に設立、98年10月に東証1部に上場した。TOBが成立すれば上場廃止となる見通し。

(アナリストのコメントを追加して記事を更新します)

©2020 Bloomberg L.P.