(ブルームバーグ): ヘッジファンド投資家は前回の金融危機以降、安全を求めて大規模なファンドに群がってきた。しかしその戦略は裏目に出ている。

  新型コロナウイルスなどがもたらす市場混乱は本来ヘッジファンドにとって絶好の収益機会のはずだが、大規模ファンドはその機会を生かせず、収支とんとんを維持するのにすら苦戦している。

  大手ファンドのウエートを高めたヘッジファンド・リサーチの指数は、年初から9月末までで4.4%下落。一方、全てのヘッジファンドの平均成績は若干のプラスだ。ブリッジウォーター・アソシエーツやルネサンス・テクノロジーズ、ウィントン、CQS、ランズダウン・パートナーズなどが低迷した。

  大手ファンドの損失は主に、年金基金や保険会社、寄付基金など影響力の大きい機関投資家に響いている。こうした投資家はヘッジファンド業界および大手ファンドを支えている。しかし今年1−9月には主に大手ファンドから890億ドル(約9兆3000億円)が流出した。ユーリカヘッジのデータが示している。

  投資コンサルタント、エーオンのヘッジファンド調査世界責任者、クリス・ワルフォート氏は「大手ヘッジファンドに投資された資金の大きな部分はパフォーマンスが良くなかったため、投資家は『どうしてこのファンドに投資しているのか、何が目的なのか』と自問している」と話した。

  大規模なヘッジファンドは、下落相場の中でより安定していると見なされてきた。2008−19年の成績マイナスだった月全てを分析したところ、ほぼ3分の2の月で大手ファンドの損失は中小規模ファンドより小さかった。しかし今年はこのパターンが崩れている。

  ユーリカヘッジによれば、運用資産10億ドル超のファンドは今年9月末までに約600億ドルの損失を出した。これは資本の5%余りに相当するという。S&P500種株価指数は5.6%上昇だったため、指数連動ファンドに投資した方が良かったことになる。

  

  大規模ヘッジファンドの顧客は徐々に、富裕な個人から機関投資家へとシフトしてきた。機関投資家は社内に調査部門を持たないことや投資資金の額が大きいことから大規模で著名なヘッジファンドに投資する傾向がある。

  しかし規模は重荷となり、一部ファンドはポジション組み替えに迅速さを欠くようになった。そのため、今年のボラティリティーが株式と債券、通貨、商品市場を揺さぶった際、多数の大規模ファンドが記録的な損失を被った。

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