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3日に投票日を迎える米大統領選で日本はほとんど話題に上らず、在日米軍撤退や日本の核兵器保有に言及したトランプ大統領が当選した前回とは様変わりした。与党内からは、トランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領のどちらが当選しようと友好関係を維持しなくてはならないとの声が上がる。

  元外務副大臣で自民党の山口壮筆頭副幹事長は「日本の首相は、米国大統領と仲良くすることが至上命題だ」と強調。どちらが大統領になっても、選挙後、できるだけ早く菅義偉首相が訪米すべきだとの認識を示した。

  9月に就任した菅首相にとって、新大統領の方針は政権運営を左右する。保護主義的な政策が強調されれば、関税や為替で不利に働く。在日米軍駐留経費など安保上の負担増に加え、対中・対北朝鮮政策も気がかりだ。

  自民党の長島昭久衆院議員は、日本は大統領が誰でも「喜んで付き合っていかないといけない立場」と説明。トランプ大統領が再選した場合は次の任期を考える必要がなく、中国や北朝鮮政策などでさらに「トランプ流」が加速する可能性があると指摘し、「予測可能性が極めて低くなる」と警戒感を示した。バイデン氏が再選した場合でも、日本に対し防衛費の増額要求も考えられると分析した。

  歴代の長期政権は米国と良好な関係を保ってきた。「ロン・ヤス」関係を築いた中曽根康弘氏とレーガン氏をはじめ、小泉純一郎氏とブッシュ氏などがいる。

  安倍晋三前首相もトランプ氏と蜜月関係を築き、長期政権を実現した一人。2016年の大統領選でトランプ氏が勝利すると各国首脳に先駆けて面会し、一緒にゴルフをする仲になった。ただ安倍氏は、当選を有力視されていた民主党のヒラリー・クリントン元国務長官とも大統領選の2カ月前に会談していた。

  トランプ政権下では貿易赤字解消の要求や防衛装備品購入など日本にとって厳しい交渉も続いたが、トランプ氏は今年8月の電話会談で、退任を決めた安倍氏を歴代の日本首相で最も偉大だと称賛し、両国関係はかつてないほど良好だと語った。  

  明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミストは、日本側にとっての懸案として為替を挙げた。安倍前首相はトランプ大統領に「上手く説明して理解を得た」とした上で、政権が代わるのであれば「厳しいことを言わせないような根回しが必要になる」と指摘した。

  世論調査では、数カ月にわたってバイデン氏が優勢を保っており、ホワイトハウスと上下両院を民主党が押さえる「ブルーウエーブ」となる可能性もある。

  野村証券の美和卓チーフエコノミストは、ブルーウエーブとなった場合、経済対策の大型化で需要が高まり、日本からの輸出の押し上げが強く出てくると分析。米国の期待インフレ率や円安の影響で日本の物価に押し上げ圧力がかかり、日本銀行による金融政策の「正常化が早まるのではないのかという思惑も出てくる可能性がある」と話す。

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