(ブルームバーグ): 中国人民元は対ドルで約2年ぶりの高値を付けたが、同国の当局者は今後も輸出を増やすことが可能とみて、元高の抑制を急ぐことはなさそうだ。

  中国人民銀行(中央銀行)は今月、人民元が月間ベースで6年ぶりの長期上昇局面に向かっているにもかかわらず、通貨高を制限する手段の活用を控えている。先月は元安を見込む取引コストを引き下げたり、為替レート管理の一部緩和に動いたりしたため、元高抑制に向けた取り組みの一環と考えられていた。

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  中国当局の動きが一転して鈍くなったことについて、元上昇が中国の輸出を損ねていないことが一因だと指摘する向きがある。中国を中心に生産されている防護服から医療機器に至るまで需要は世界的に急増している。上海航運交易所のデータによると、中国発の対外貨物運賃を測る指標は今月、6年ぶりの高い水準に上昇。10月の輸出も昨年前半以来の高い伸びとなり、市場予想を上回った。

  人民元は5月下旬から約9%上昇したものの、こうした輸出の底堅さもあって中国は元安誘導に動く必要がないのかもしれない。一方で、通貨高は輸入品の価格を下げ、国内消費を後押しする効果もあり、自立した経済を目指す習近平国家主席が望む内需拡大目標の達成にも寄与する。

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  また、元の値上がりは中国の債券や株式に外国人投資家をさらに引き付けることになり、世界的な元の利用を促す上で不可欠なステップになる。

  クレディ・アグリコルCIBの新興国市場担当シニアストラテジスト、ダリウス・コワルツィク氏は「人民銀は元相場を市場の需給動向に委ねている。中国の強いファンダメンタルズに十分沿っているためだ」と指摘。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの中国経済の持ち直しやドル安で人民元は来年さらに上昇するとの見通しを示した。

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