(ブルームバーグ): 中国の湖北省武漢市で新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)が実施され世界に衝撃を与えてから1年。この戦術はほぼ全ての国・地域で採用され、感染収束のための不動の手段となりつつある。

  現代における初の大規模ロックダウンがパンデミック(世界的大流行)の初期だった昨年1月23日に中国で実施された当時、効果も証明されていないあり得ない措置だと受け止められた。特に民主主義国家の政府は、市民の移動の自由をこれほど大規模に制限することの人権への意味合いを考え驚いた。

  しかしそれからほぼ1年がたった現在、英国は新型コロナウイルスの変異株への対策で3回目の全国的ロックダウンの真っただ中にある。オーストラリアはブリスベンで最近1件の感染症例が発覚したのを受け、3日間のロックダウンに踏み切った。そして中国では500人超の感染確認を受けて、今月北京周辺3都市でロックダウン措置が発動された。

  香港城市大学のニコラス・トーマス准教授は「新型コロナウイルス感染症(COVID19)の発生以前は、ロックダウンや同様の隔離措置に反対する強力な世界的論調があった」が、今のパンデミックがそれを覆したと考えられると指摘。「可能な範囲において、ロックダウンは各国政府にとって、現在および将来の感染症流行に対処するために不可欠の手段の一つになるだろう」と付け加えた。

戦時対応

  中国政府がロックダウン中に市民に課すことができる制限と民主主義国の対応の間にはなお大きな隔たりがあることは明らかだ。比較的少数の感染者確認で中国政府はいとも迅速に、日頃から「戦時」対応と呼んでいる措置を宣言。地元当局は住宅地を完全に封鎖するなどの行動でその順守を確実にした。食料調達のための外出も認められない場合もあり、代わりに食料配達が手配される。

  最近ロックダウンに踏み切った河北省石家荘市では、武漢で講じられた措置を想起させる厳格な対策が採用された。感染症例が500件を超える中、北京の南西290キロにある同市は約1100万人の住民全員を対象として2回目の集団検査に着手、その間7日間の在宅を市民に義務づけた。飛行機や電車など公共交通機関をほぼ全面的に停止した。

  対照的に、英国のような民主主義国家のロックダウンでは一般的に、食料や医薬品などの買い物や犬の散歩、運動のための外出は認められている。フランスの昨秋のロックダウンでは学校は休校措置が取られなかった。今月2週間のロックダウンに入っているイスラエルは、屋外で最大10人までの集まりを許可し、宗教活動は規制の適用外としている。

  中国当局は、危機から回復したことが自国のアプローチが有効な証明だと主張する。また、ロックダウンを回避し混乱を最小限に抑えるアプローチで当初成功したと受け止められていた韓国や日本、スウェーデンなどの国で冬に感染が再拡大したことも、より厳格な措置を支持する主張を強めるものだ。

  中国国家衛生健康委員会の報道官は、「中国の膨大な数と高密度を踏まえ、(これらの措置)は非常に効果的であることが証明された」とブルームバーグニュースに語った。

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