第162回芥川龍之介賞・直木三十五賞(日本文学振興会主催)の選考会が1月15日、東京・築地の「新喜楽」で開かれ、芥川賞は古川真人さん「背高泡立草」(すばる10月号)、直木賞は川越宗一さん『熱源』(文芸春秋)に決まりました。

【芥川賞】古川真人「背高泡立草」

 古川真人さんは1988年、福岡市生まれ。高校時代に小説を書き始め、中退した国学院大学文学部では近代日本文学の研究会に所属した。
 2016年、「縫わんばならん」で新潮新人賞を受賞しデビュー、芥川賞候補に躍り出た。以降、「四時過ぎの船」(17年)、「ラッコの家」(19年)と候補に挙がり、今回は4度目だった。
 受賞作は一貫して書いてきた九州の島に本家がある一族の物語。濃密な方言を多用しつつ、草刈りに来た家族の意識と、その島にまつわる江戸時代から現代までの記憶を交互に描いた。

【直木賞】川越宗一「熱源」

 川越宗一さんは1978年、大阪市生まれ、京都市在住。龍谷大学文学部史学科中退。2018年「天地に燦たり」で松本清張賞を受賞しデビュー。19年、2作目の「熱源」が山田風太郎賞の候補に入り、本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。初めて直木賞の候補となった。
 受賞作は、樺太(サハリン)で生まれ南極探検に赴いたアイヌ民族の男性と、ポーランドの文化人類学者を主人公にした歴史小説。ともに故郷を奪われた2人の生涯を描き、文明がもたらす理不尽な側面を浮き彫りにする。

他の芥川賞候補作はこちら

・木村友祐「幼な子の聖戦」(すばる11月号)

・高尾長良「音に聞く」(文学界9月号)

・乗代雄介「最高の任務」(群像12月号)

他の直木賞候補作はこちら

・小川哲「嘘と正典」(早川書房)

・呉勝浩「スワン」(KADOKAWA)

・誉田哲也「背中の蜘蛛」(双葉社)