「小児性愛」という病 それは、愛ではない [著]斉藤章佳

 小児性愛と聞けば多くの人が恐怖と嫌悪感を感じる。子供へのわいせつのニュースは頻繁に耳にするし、加害者の厳罰化やGPSによって行動を縛れという議論もある。しかし、加害者について私たちはどれほどのことを知っているだろうか。本書は依存症治療の現場で小児性愛者と向き合うソーシャルワーカーが、彼らの心理や再犯防止、そして結局彼らはどのような人々であるのかを伝えてくれる貴重な一冊だ。
 仮釈放は保護観察期間があり、保護司とのコンタクトがある一方で、お金も家も人的なつながりもないまま社会に戻るケースが多い満期出所の場合、再犯率が高いこと。性犯罪の多くは「自死か、性暴力か」という追い詰められた状況で起こること。小児性愛者は同じ性加害者の自助グループの中でも、ロリコンは異常、と見下され、口を閉ざしがちなことから、小児性愛者のみでプログラムを進めることが望ましいこと。薬物療法で性欲を抑えるだけでは再犯防止にはつながらず、人と繫がる適切な治療で「再犯しない自分」を確立することが大切であること。小児性愛者にまつわるいくつもの事実は、彼らがモンスターではなく同じ人間であり、単なる厳罰化ではなく社会全体が、加害者や再犯者を生みにくい構造に転換していく必要を示している。
 加害者の約半数がいじめ被害を経験していることも注目されるべきだろう。社会からの疎外感を抱いた者が、簡単に触れられてしまう児童ポルノの害悪も大きい。海外ではGPSや情報公開の対策もとられているが、情報公開で再犯率は大きく変わらないともいわれ、監視と排除一辺倒ではなく、根本的な治療や教育によって社会にいかに迎えいれるのか、社会がどのように変われるのかこそが問われる。そうでなければ「今後も小児性愛障害になる者が量産され」るという筆者の警鐘は聞き流せない重みがある。
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 さいとう・あきよし 1979年生まれ。大森榎本クリニック精神保健福祉部長。加害者臨床。『男が痴漢になる理由』