自然は、時に優れた幾何学者になる。雪の結晶、くもの巣、柱状節理――。

 本書は、東京・駒込の多肉植物専門店が厳選したサボテンなどを紹介する。目に飛び込んでくるクリアな写真に、多くの幾何学を発見できる。球体や多面体が密集していたり、三角形が集まっていたり。そうした球体などからさらにトゲが生えているため、幾何学はより3次元的、多層的になっている。

 一方で、キカガクという硬い響きからはほど遠い、愛らしい姿をしたものが多い。表紙に使われているメキシコ原産のサボテンもその一つ。丸いボディーが、羽毛のようなトゲ(?)に、細かく規則正しく覆われ、さながら編み物。和名も「小人の帽子」だ。

 丸みを帯びた形と、美しさを宿す細部の効果で、小動物のように見えるものも。ネットでこうした姿が流布し、数年前からブームなのだという。幾何学だ、フラクタルだといった分析を超え、忘れ難い魅力を放っている。=朝日新聞2020年4月18日掲載