ダイナソー・ブルース 恐竜絶滅の謎と科学者たちの戦い [著]尾上哲治

 自説こそ恐竜(ダイナソー)絶滅の原因だと主張する科学者たちの論争の歴史が語られる。学者たちは、説を裏付ける証拠を調査と研究で集め、他説の矛盾を突いてきた。
 反対論者への執念深い攻撃、異分野の研究者に対する嘲笑や拒否反応。欠陥を指摘されても正面から論争せず主張を繰り返す。世間受けする「定説を覆す研究」でメディアを引きつける学者もいる。世間でも見かける行動ではないか。
 地質学者である著者ならではの視点や経験から、浮世離れしていそうな恐竜研究者の人間味がにじむ。
 世界的に議論される学問では横車を押せない。根拠が積み重ねられる天体衝突説の前に、非合理な説は論争対象でなくなっていく。
 観察してきた地層も、衝突説を頭に置いて見れば、見逃してきた証拠が突然見え始めるという指摘が興味深い。知識はみえる世界を変える。ウイルスは見えずとも何が危険か知らされ、行動が変わったように。