見開きの絵本の手元に描かれたハンドルを握って、ジャングルや深海の探検気分を味わえる絵本「たんけんハンドル」シリーズ(偕成社)が5月に出版された。作者は、全国で工作や絵のワークショップを開催し、のべ5万人以上の子どもたちとふれあってきた、やおいひでひとさん(36)だ。

 シリーズは「せんすいかん」「くるま」「うちゅうせん」の3作。黄色い潜水艦の形をした絵本を開けば、宝箱が眠る沈没船や巨大な深海魚が待つ海への大冒険が始まる。

 ワークショップで、たった1枚の絵からでも空想の世界に入り込んで遊ぶ子どもたちの想像力に驚かされてきた。保育園の壁画の一部に宇宙船を描いたら、園児たちがロケットなどの絵を描き足し、宇宙での出来事を語り合っていたこともあった。活動が10年に差しかかった3年ほど前「子どもの想像と地続きの本を出したい」と初めて絵本の出版に乗り出した。

 試作版を子どもたちに見せたら、椅子を並べた即席の潜水艦に友だちと乗り込んだり、ハンドルを握るマネをしたり。完成して本になった「うちゅうせん」を手に取った子は、人形に折り紙の宇宙服を着せて読み聞かせてあげた。

 「楽しみ方は自由。大人が何も言わなくても、子どもたちは想像を超えた遊び方を見つけてくれるはず」と話した。(伊藤舞虹)=朝日新聞2020年6月27日掲載