ジャニーズという名のグループがデビューしたのは1962年。ちょうど50年後に本書は出版された。

 企画のきっかけは、共著者の一人の速水健朗(はやみずけんろう)さんが参加されていた『バンド臨終図巻』の刊行記念イベントだ。解散前夜のフォーリーブスがアース・ウインド&ファイアーの「宇宙のファンタジー」をカバーしたのをはじめ、ジャニーズの楽曲史にはブラックミュージックの影響が脈々と息づいているという話が出たとき、ジャニーズのプロダクツに傾倒する私は、文化史、文化研究としてジャニーズ事務所を考察する本を作らなきゃ、と思い立った。

 あまりに身近かつ巨大な「ジャニーズ」のイメージを築いた、ジャニー喜多川というプロデューサーの徹底した美学の深層を解き明かすべく、音楽や消費文化、大衆文化を専門とする批評家3人が「ジャニーズ研究部」を結成。彼らは、半世紀分のジャニーズアイドルの音楽、コンサート、舞台、ビジネス戦略、広告、そしてジャニー喜多川の半生を、コツコツと資料にあたって分析し、作品が参照したものや、社会に与えた影響について論じあった。その過程に立ち会って分かったのは、ジャニーズこそは、戦後を考える上で避けては通ることのできない重要な文化だという事実だ。

 あれからジャニーズと日本社会は転換期を迎えている。変化を踏まえて最近、増補版『ジャニ研! Twenty Twenty ジャニーズ研究部』を出した。=朝日新聞2020年8月5日掲載