書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)が「現代短歌クラシックス」シリーズの刊行を始めた。入手困難となった歌集を新装版として出すもので、「今こそ読まれるべき作品を届けたい」という。

 7月に出た第1弾は飯田有子(ありこ)の第1歌集『林檎貫通式』。2001年に刊行されたこの歌集は、〈女子だけが集められた日パラシュート部隊のように膝を抱えて〉をはじめとする作品がフェミニズムの文脈で再評価されている。未収録の「宇宙服とポシェット」(135首)をあわせて収めた。

 8月に出た2冊は、第1回塚本邦雄賞を今年受賞した石川美南(みな)の第1歌集『砂の降る教室』と、1990年刊行の正岡(まさおか)豊の第1歌集『四月の魚』。〈カーテンのレースは冷えて弟がはぷすぶるぐ、とくしやみする秋〉などを収めた03年刊行の石川の歌集は中古で定価の9倍の値がついていたケースもあるといい、「読みたくても簡単には読めない」という声があがっていた。

 同社の田島安江代表は、「若い世代の歌人でも、第1歌集が手に入らないケースが少なくない。原点となる一冊を通して、短歌を身近に感じてもらえたら」と話す。(佐々波幸子)=朝日新聞2020年9月9日掲載