新型コロナウイルスの感染爆発で、世界中の株価が暴落し、長年世界経済をけん引してきた自動車産業は次々と生産停止に追い込まれ、航空、旅行、飲食などサービス産業の需要はほぼ失われたといっていい悲惨な状態だ。ここで見直されているのが、かねて批判されてきた日本の大企業の手堅い経営だ。

 ウォール街で長年、医療やバイオ分野を専門とした投資銀行を経営してきた神谷秀樹氏は、「文藝春秋」5月号の中で次のように書いている。

「不況になると『キャッシュ・イズ・キング』(現金こそ王様)という格言が思い起こされる。この苦境を乗り切れるのは内部留保が厚く、潤沢な現金を蓄えている企業だ。幸い日本の大企業は『株主還元が低い』と批判されても内部留保を厚くしてきたところが多かった。賢明な判断だった」


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パンデミックが長引くほど「ユニコーン企業」は危ない

 ところが世界の大多数の企業はそうではなかった。リーマンショック後、各国の中央銀行が金融緩和を進めたため、金利は大幅に下がり、「借りなきゃ損」という雰囲気がおよそ10年も続いたためだ。

 パンデミックが長引けば長引くほど、資金を借りまくった企業、赤字体質の企業は苦境に追い込まれる。さて、それはどの業界なのか。神谷氏はこう予想する。

「まず危ないのは『ユニコーン企業』と持て囃されてきた企業群だろう。ソフトバンクグループの孫正義氏が投資しているウーバー、楽天の三木谷浩史氏が投資しているリフトなどの配車アプリ会社はユニコーン企業の代表格だ。ウーバーの株価は公開価格の3分の1に、リフトは8割低下した」