知らぬ間にネット決済口座を通じて預金が流出した「不正引き出し事件」は証券会社にも波及した。ネット証券最大手のSBI証券が9月16日、6つの顧客口座から約1億円が流出したと発表したのだ。

「SBIのシステムはドコモ口座と異なり、『ユーザーネーム』『ログインパスワード』『取引パスワード』など、出金操作までに複数のパスワードを入力する必要がありました。ところが、これらの個人情報が他のネットサービスから不正に盗み取られていた。被害者の中には、知らぬ間に保有株式がすべて売却され、口座がカラになっていたケースもあります」(市場関係者)

 事態を重く見た金融庁はSBIに対して報告徴求命令を出し、詳しい経緯などを報告するよう求めた。

「今回の事件は、菅政権の誕生で追い風が吹いていたSBIホールディングスの北尾吉孝社長(69)にとって、思わぬ躓きと言えるでしょう」(同前)


北尾社長は「野村をどんどん引き離す」と語っていたが…… ©共同通信社

 野村證券出身の北尾氏はソフトバンクの株式公開を担当したことから、孫正義社長にスカウトされ、99年にソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)社長に就任。ネット証券の手数料ゼロをぶち上げるなど、業界の価格破壊を主導してきた。