「獏ちゃんは寝るときも携帯を握りしめて離さなかったそうです。彼は熱が少しある中、たった一人、家にこもって岡江さんが入院する病院と連絡を取っていました」

 そう語るのは、女優・岡江久美子(享年63)が所属していた「スタッフ・アップ」社長の戸張立美氏(70)だ。夫で俳優の大和田獏(69)とのおしどり夫婦で知られた岡江は、4月23日、新型コロナウイルスによる肺炎で急逝した。岡江の元マネージャーで、40年以上一緒に仕事をしてきた戸張氏が「週刊文春」の取材に、夫婦の最後の20日間を明かした。


岡江久美子(享年63) ©文藝春秋

地方公演中止で叶った対面――夫婦の絆が産んだ奇跡

 岡江が異変を感じたのは、4月3日のことだった。昨年12月末に乳がん手術、1月末から2月中旬まで放射線治療を受けたことから、検査のため、自宅近くのMRIやCTなどの検査を専門で行うクリニックを訪れた。

「CT検査を行ったところ、肺に(新型コロナ肺炎の特徴である)影がうっすら見つかり、コロナの疑いが生じた。でも、この時点で発熱はなく、帰宅して様子を見ることにした。ところが、家に帰ってから熱が出たそうです」(戸張氏)

 一方、大和田は4月1日から、舞台「Sing a Song」で地方公演に出かけていた。だが、5日朝にその夜の奈良公演が中止になり、急ぎ帰宅する。岡江の容体が急変し、都内病院に搬送されたのは、その翌日、4月6日だった。

「獏ちゃんが主治医に電話し、主治医が奔走して受け入れ先の病院が見つかった。搬送の時にはまだ会話ができる状態だったそうです。獏ちゃんがもし5日に自宅に戻ってこられなかったら、岡江さんと会えなかったかもしれない。夫婦の絆が産んだ奇跡です」(同前)

 大和田も、帰宅時に熱の症状があったが、岡江の濃厚接触者にはあたらないと保健所から言われているという。現在の濃厚接触者の定義は、「発症の2日前から接触した人」となっている。地方出張で岡江と離れており、帰宅後も寝室を別にするなどしていたためと見られる。

「主治医の勧めがあって、7日に検査専門のクリニックでCT検査を受けるも異常はなかったそうです。ただ、病院に行ったことについて、獏ちゃんは『感染拡大防止の中で間違った行為だった』と言っていました」(同前)