〈あらすじ〉

ナチ・ドイツの脅威に揺れる、1937年のオーストリア。自然豊かなアッター湖畔に暮らす17歳の青年フランツ(ジーモン・モルツェ)は、ウィーンへ上京し、戦争で片足を失ったオットーが営むタバコ店で見習いとして働き始める。常連客の心理学者フロイト教授(ブルーノ・ガンツ)は、フランツに人生と恋を楽しむことを勧める。フランツは、一目惚れしたボヘミア出身のアネシュカとの関係について、フロイトに助言を仰ぐ。翌年、ナチ・ドイツによるオーストリア併合が完了し、反ナチのオットーやユダヤ人のフロイトに危機が迫るなか、フランツはある決断をする。

〈解説〉

ドラマを多く手掛けてきたニコラウス・ライトナー監督がローベルト・ゼーターラーのベストセラー小説『キオスク』を実写化。第二次世界大戦前夜を舞台に、青年の恋と成長を描く。ブルーノ・ガンツの遺作。113分。

中野翠(コラムニスト)

★★★☆☆フロイトに示唆されて夢日記をつけるというのが新味の青春物語。ナチスの台頭の様子と角のたばこ屋の佇まいに注目。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★☆☆緊迫感はなかなか高いが、夢場面の絵解きやセットの大道具が再現ドラマ的にゆるむ。リー・エヴァンス似の若手は健闘。

斎藤綾子(作家)

★★★★☆街角のキオスクの佇まいが魅力的。ナチの残酷さを直接描かず、フロイトの眼差しとフランツの行動力に切なく救われた。

森直人(映画評論家)

★★★☆☆天使化したフロイトが童貞君を導く作中人物で登場。不穏な時代背景の中で個の確立を説く健全なリビドー系青春映画。

洞口依子(女優)

★★★☆☆煙草店(キオスク)とウィーンの描写、夢仕掛け。展開は薄味だが今にも通じる触感に共感。ガンツ遺作でフロイトとは!?


© 2018 epo-film,Glory Film

『17歳のウィーン フロイト教授 人生のレッスン』(オーストリア、独)
Bunkamura ル・シネマほか全国順次公開中
https://17wien.jp/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年8月6日号)