「いじめ防止法」ができたのに、なぜ自殺する児童は増えたのか?


イラスト 中村紋子

 滋賀県大津市の中二男子のいじめ自殺事件を機に生まれた「いじめ防止対策推進法」。今年の九月で施行から五年たち、今、改正の気運が盛り上がっている。同法は、一刻も早く立法化しないと、今にもいじめで死を選ぼうとしている子供たちを救えないとの緊急性から、成立を優先した背景がある。

 なぜ、いま改正が必要なのか。いじめ防止法で「いじめの防止・早期発見」が謳われ、いじめ認知件数の増大という効果はあった。しかし、法律施行前の四年間に自殺した児童生徒の人数は七百九十三人だったのが、施行後四年間では九百四十二人。法律が施行されたにも関わらず百四十九人も激増したことになる。不登校に至っては二〇一七年度に十九万三千六百七十四人と、全国で三百八十七校分に相当。一人でも多くの命を、急いで救わなければならないの。

 元文科大臣の馳浩衆院議員が座長で超党派の議員による勉強会が積み重ねられ、十一月、改正素案が出来上がった。

 まず、今までの附帯決議が条文に織り込まれ、完成度も実効性も高い改正案になった。法律が自殺の歯止めになっていない実態を受け、学校・教委はいじめへの理解を深めなければならないと明記。適切な対応をとらなかった教員への罰則を新設し、「教員によるいじめ」も対象になった。

 第三者委員会の委託先を教育委員会か、地方公共団体の長から選べるようになるのも大きなポイントね。昨年三月文科省発表の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の「被害者に徹底的に寄り添う」等の精神も取り入れられ、子供の生命・心身の保護を「他の業務に優先して」行うべきことも規定された。

 まだ議論の余地はあるかもしれないけれど、いじめで死の淵に立つ子供を早急に救うために。今臨時国会での「いじめ防止対策推進法改正」を切望しているわ!

(尾木 直樹/週刊文春 2018年12月13日号)


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