「奪う不倫は長続きしない」37歳未婚女性の“規律”は正しいといえるのか

 既婚男性との情事を肯定する論理を探すのは難しい。ただ、実際考えてみれば、当事者の誰かが「傷ついた」とか「寂しい思いをした」とかいう裁きにくい理由を一度棚上げしてみると、それを外部からはっきりと否定する論理も実は見出しにくい。

 人の所有物を奪うのは金品の窃盗と同じように否定できるが、果たして婚姻関係にあるパートナーが誰かの所有物かどうかという問題がある。たとえ1対1のモノガミー制度のもとでは少なくとも婚姻関係というのは所有に近いものがあるとしてみたところで、その論理における「奪う」は婚姻関係そのものを奪う、ということになるわけだから、妻との結婚を破綻させ、自分が新しい結婚相手におさまろう、という態度がなければ「奪う」が成立しない。

 愛人という立ち位置を受け入れ、相手の婚姻関係を壊すつもりなど毛頭ないと言われてしまうと、果たして愛人が妻から何かを奪っていると主張するのは厄介な作業だ。


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不倫相手に「奪う」気がなくとも

 さて、そんなことは愛人の側の詭弁である。実際に不倫が発覚した場合、不倫相手に「奪う」気がなくとも妻と夫の間の信頼のもとに築き上げられた婚姻関係を間接的に破綻させるかもしれない。相手を信頼していた妻から、心の安定や幸福と呼ばれる何かを奪っているかもしれない。不倫関係が深まることで、妻が夫と過ごすはずの時間を奪うこともあるだろうし、妻や子供に使われるべきお金が愛人に流れることもあるかもしれない。

 あるいは、妻からではなく、夫、つまり自分の既婚の恋人からも何かを奪う可能性はある。社会的な信頼、妻との良好な関係、心の平穏、家族との時間。既婚男性と関係を持つことは外から考えてみても、あらゆる方法で人を傷つける可能性があり、そんなことを平気でしてしまう女との関係は肯定できないから、世間から非難され、時には仕事まで奪われる。

「奪わない」ということに強く執着し、自らの行動指針を作る女

 ただ不倫がなくならないのは、そういった事情が理解されていない、知られていないからではない。そのように被害者を生む可能性があっても、それを(あくまで自分の中では)超える理由があるからだ。ある者は商売のために、ある者は自分を救うために、ある者は燃えたぎってしまった恋心に導かれて。

 当然、人間は罪悪感を忘却できるほど強くはないし、危険を顧みないほど無知でもないので、それぞれに言い訳があり、商売で、あるいは生活のために愛人稼業を続ける者は、お金はもらっても妻に向けるような愛はもらっていないと言うし、自分にもそれなりの収入がある者は時間に多少の犠牲を払ってもお金は一切負担させていないと言う。そして「奪わない」ということに強く執着し、自らの行動指針を作る女もいる。


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