愛娘はいま3歳8カ月 「凍結卵子」で子どもを産んだ44歳女性のその後

“今風の女性像”でなぜ括るの?

(国内初? 私が?)

 戸惑っている間もなく、テレビの取材や撮影、出演の依頼で電話が鳴りっ放しになり、私は右往左往。混乱してしまって、赤ちゃんだった娘を抱えると実家に逃げ帰ってしまいました。

 それから連日、テレビやネットのニュース、情報番組でドクターや評論家の方たちが私の出産についてコメントしていましたが、それを見聞きしているうちに私は違和感を覚えるようになっていました。

 くだんの全国紙もそうですが、メディアが「卵子の凍結」を話題にする際は、未婚女性が将来出産するために卵子を凍結保存することを日本産科婦人科学会が「推奨しない」としていること、それでも女性たちが卵子凍結する背景には女性の社会進出に伴う晩婚化・晩産化があるという解説が付け加えられます。

 若いうちは結婚・出産より仕事のキャリアアップを優先させて、医学界が反対しているにもかかわらず凍結保存しておいた卵子で出産する─そんな“今風の女性像”という文脈で「卵子の凍結」は語られるのです。高齢出産のリスクを理解していない、女性のワガママだ、セレブ気取りだと批判されることもあります。

 とんでもない。私は長く看護師をしていましたし、自分でも体験しているからわかるのですが、そもそも卵子の凍結はそんな気軽にできるようなことではありません。男性の精子の採取は自分で容器に射精するだけですが、女性は卵子を体外に出すことなんてできないから採卵手術が必要です。しかも術前には、何日にもわたって決まった時間に投薬や注射をしなければなりません。健康な女性の場合、これらは医療として認められないので保険が適用されず、一回の凍結につき30万〜50万円の費用がかかります。

 高齢出産のリスクについては、20代のうちに結婚して子どもを産むことが望ましいという生物学上の事実を女性の誰もが嫌というほどわかっています。ところが出会いがなかったり、結婚できない事情があったりして、でもいつかはお母さんになりたいという思いがあるから、肉体的負担も金銭的負担も覚悟のうえで卵子の凍結保存を決断するのです。


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