3度目の失恋を経験して、ゲイの僕が気づいたこととは

連載「僕が夫に出会うまで」

 

2016年10月10日に、僕、七崎良輔は夫と結婚式を挙げた。幼少期のイジメ、中学時代の初恋、高校時代の失恋と上京……僕が夫に出会うまで、何を考え、何を感じて生きてきたのかを綴るエッセイ。毎週連載。

 

(前回までのあらすじ)高校時代から片思いしていた親友のハセが、3ヶ月間だけ一緒に住ませてほしいとお願いしてきた。当初は喜んでいた僕だったが、次第にハセの彼女との長電話にイラつきや嫉妬を募らせていく。友人に相談するも、僕がゲイだとは知らない友人は、困惑するばかりだった。

 

(前回の記事「 ゲイの僕が好きな人と共同生活した、悪夢のような3ヶ月 」を読む)

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 3ヶ月の同居生活はあっという間に終わり、ハセは東京の西の方に引っ越していった。喧嘩もしたが、ハセのことを嫌いになるなんて僕にはできなかったから、ハセがお礼を言って家を出て行くときは、すごく寂しい気持ちになった。ハセがこの部屋に残していったTシャツには、まだハセの匂いが残っていた。ただ、これを機に4年以上続いたハセへの片想いにもケジメを付けなくてはならないのだと、自分の中で、何となく、そんな気がしていた。

 こんな大きな恋を忘れ去るには、何か違う壮大なことに熱中するしかない。そう考えた。そしてその頃、専門学校のメンバーで劇団を立ち上げることとなる。「劇団ヤミナベのキセキ」だ。

 まもなくして「劇団ヤミナベのキセキ」の旗揚げ公演が決定した。舞台の稽古にはかなりの時間を要する。そのお陰で、ハセが去った事を悲しんでいるヒマは僕には無かったし、その劇団内で、僕の新たな恋が始まることになる。


©平松市聖/文藝春秋

 舞台の主役は達也(達ちゃん)という男子で決まった。達ちゃんは、僕とクラスは違うのだが、舞台の稽古が始まってすぐに意気投合した。のんびりした性格で、シッカリ者の正反対というか、どこかヌケてるような感じの人だ。身長は僕と同じくらい(178センチくらい)あって、細マッチョ。普段は和歌山の独特な関西弁が可愛いのだが、舞台に立つと標準語になる。

 ちなみに、僕はいつも主役にはなれない。悪い老魔女の役など、変わり者に配役されることが多かった。考えてみると昔から配役の運はなかった。目立ちたがり屋の僕はいつも主役を目指すのだが、小学生の時の『おおきなかぶ』という劇では、その題名から「かぶ」が主役だと思い、かぶ役に立候補したものの、台詞はひとつもなかった。

稽古が終わると一緒に帰ることが習慣に

 話がそれたが、今回主役に選ばれた達ちゃんは、稽古が終わった後はいつもウチに来ていた。一緒にご飯を作って、食べて、演技の相談などをしながら、時にはうちでお泊りする事もあった。そんな達ちゃんに、だんだんと心が惹かれていったのだった。

「達ちゃん、今日もウチくる?」

「うん、ななぴぃ、ボク、今日はカレーが食べたいと、思ってた!」

「またカレー? それなら今日はシーフードカレーにしてみない?」


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