「中高年ひきこもりは自己責任か?」精神科医・斎藤環が予測する「孤独死大量発生」時代

「ひきこもりバッシング」が起こる懸念も

 斎藤氏は、現在50歳代半ばのひきこもりが一斉に年金受給開始年齢に達する「2030年問題」を指摘する。

「わが子の将来を案じる親は、自分が死ぬまで、子の年金保険料を払い続けているはずです。その子たちが年金を受給し始めたとき、年金制度は支払いに耐えられるでしょうか。


 また、年金の財源は半分が税金です。一般の人から『税金を払ってないくせに年金をもらうのはずるいじゃないか』という“ひきこもりバッシング”が起こることを、私は強く懸念しています。生活保護に頼る場合も同じです。『ひきこもったのは自己責任なのだから、死んでも仕方ない』との論調が、世の中の主流になってしまうことを危惧します」

 さらにその先に、非常に深刻な問題が予測されるという。

「私が案じるのは、そもそもひきこもりの半数以上は、年金や生活保護の受給申請をしないかもしれないということです。役所で手続きをする生活能力の問題もあるし、何より恥だと感じて申請しない人も多いのではないか。その場合、あとは孤独死しかありません。やがて“孤独死大量発生時代”がやってくるでしょう」

 ひきこもり家庭の「家計」、就労にとっていちばん大事な「安心」、懸念される「介護虐待」など、多岐にわたって対策を論じる斎藤環氏の提言「『中高年ひきこもり』100万人の現実」は、 「文藝春秋」6月号 に全文掲載されている。

 ひきこもり高齢化は、私たちの社会が直面する「いま、そこにある危機」だ。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年6月号)


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