秋元司元内閣府副大臣の再逮捕もあり、益々疑惑が拡大するIR汚職事件。そんな最中の1月7日に発足したのがカジノ管理委員会だ。内閣府の外局に置かれた同委員会は、カジノに関する規制を厳格に執行する独立した組織。人事は国会の同意が必要とされ、証券取引等監視委員会や公正取引委員会などと同様に、強大な権限を持つ。そのトップの委員長には元福岡高検検事長の北村道夫氏が就任し、4人の委員には元警視総監や精神科医など、業者の調査やギャンブル依存症対策に関連する人材が並ぶ。そのうちの1人が、遠藤典子氏(51)だ。現在、慶応大学大学院特任教授だが、2013年末までは経済誌出版の老舗、ダイヤモンド社に在籍し、「週刊ダイヤモンド」(以下ダイヤ誌)の副編集長として知られていた。そんな遠藤氏が、“記事盗用”トラブルを起こしていたことが分かった。


カジノ管理委の初会合(左端が遠藤氏) ©共同通信社

 ダイヤモンド社の社員が語る。

「遠藤氏はダイヤ誌の副編集長だった2006年に、盗用騒動を起こした。彼女が手掛けた『電機王国の幻想』(同年7月22日号)という特集記事の文章が、その約5カ月前に日経新聞に掲載された記事と酷似しており、日経から抗議を受けたのです。比べてみると、細かい表現を変えている部分はありますが、引用しているデータや話の運びかたが日経の記事と同じ。結局、翌年の同誌8月25日号で『お詫び』を掲載する事態になったのです」

 当の遠藤氏に尋ねると書面で下記のような旨回答した。

「某大手電機メーカーの幹部から提供された社内資料に基づいて記事を作成しました。日経からの指摘後、ダイヤ誌編集長がメーカー幹部に面談した結果、日経の指摘箇所(数行のものと記憶しています)は当該資料の引用部分であったと確認されました。誤解を招いた点についてはお詫びがなされたかもしれませんが、日経の記事の盗用ではないと確認されております」

 だが、当該記事で日経と表現が酷似する部分は33行に及ぶ。また、仮に取材先から提供された資料であっても、それを引用と示さずお手軽に引いて記事化することが適切なのか。他人の記事を許可を得ず、自分で書いたかのように発表する「盗用」は、記者の倫理に反する行為とされており、ダイヤモンド社は、「日本経済新聞記事を無断で転載していた」ことを認め、「日本経済新聞社ならびに関係者にご迷惑をおかけしたことを深くお詫びいたします」と、明確に謝罪している。カジノ管理委員会は、カジノ参入を計画する業者に対して、「廉潔性確保」のため、厳格に審査・監督する存在だ。高い倫理性を求められる遠藤氏の「盗用ではない」という説明が理解を得られるのか、注目される。

 また、遠藤氏を巡ってはダイヤモンド社在籍中に競合会社を立ち上げ、社内から告発の声があがり、夫の取締役が任期途中に退任した疑惑なども浮上しており、「週刊文春」1月16日発売号では、5ページにわたってカジノを巡るさまざまな問題を徹底検証している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年1月23日号)