今週もたくさんの対局があった。1月12日の日曜日には「何日と何日は将棋会館に行けるかな。なんなら1月13日の王将戦第1局、掛川だったら日帰りで見に行く手もあるかな」などと脳天気なことを考えたりしていた。

 しかし改めて原稿の締め切り状況などを確認したところ、掛川どころか千駄ヶ谷に行くのも厳しいことが分かった。いやはや。いけませんね、こんなことでは!

1月12日、日曜日。

 この日のNHK杯戦の放映は▲木村一基王位−△渡辺明三冠戦だった。棋譜はこちらから( https://www4.nhk.or.jp/shogi/ )。

 私はNHK将棋講座テキストのNHK杯担当をしているので、毎回収録に立ち会っている。この仕事がなかったら、恥ずかしくて現場派を名乗ることはできないだろう。

 将棋は渡辺三冠にしては珍しく早々にミスが出て、中盤で差がついた。しかしその後に木村王位が疑問手を指したとは思えないのに、なぜか差が詰まっていくという不思議な展開。最後は木村王位が逃げ切ったが、渡辺三冠の怖さが印象に残る一局だった。


NHK杯の次戦では、行方尚史九段とベスト4をかけて対局する木村一基王位 ©文藝春秋

 NHKテキストに掲載される観戦記は森充弘さんが執筆。3月号の予定なので、2月半ばの発売となる。

 終了後に木村王位に「元気君、行ける?」と声をかけてもらい、森さんと3人で放送センター近くのそば屋に入った。余談ながら将棋界で私のことを「元気君」と呼ぶのは、木村さんと、奨励会時代に師匠だった所司和晴七段だけである。

 店に入ると、木村さんはネクタイを少し緩めながら「これまでの最高がベスト8なんだ」とつぶやいた。もうひとつ勝てば、それを更新できる。

 次は行方さんですね、と言うと「そうだね」とにやり。仲のよい二人の対戦は、開始前から感想戦まで(もしかしたら、その後も?)面白いことになりそうだ。

1月13日、月曜日。

 世は成人式。思い立って調べてみたところ、今年に成人する棋士がひとりもいないことがわかった。最年少は藤井聡太七段の17歳。その次が斎藤明日斗四段の21歳。20歳以下の新四段が生まれない限り、来年も成人を迎える棋士はいないことになる。

 ちなみに女流棋士では、1999年1月生まれの石本さくら女流初段と、5月生まれの武富礼衣女流初段が成人する。

 石本さんはロック好きで有名であり、どこかで「女行方」という嬉しいのか何なのかよく分からない二つ名を聞いたこともあった。そうそう、石本さんと行方さんは感性豊かで文章がとても素敵だという共通点もある。どこかで定期的に文章を書く機会があればいいな、読みたいなと思う。