「皇后陛下は5月11日、皇居内の紅葉山御養蚕所で、皇后となられて初めての『御養蚕始の儀』に臨まれました。蚕(カイコ)を飼ってその繭(まゆ)から生糸を作る御養蚕は、歴代の皇后が務めてこられた重要なお仕事です。皇后陛下は昨年の6月6日に皇后として初めて御養蚕所を訪問されていますが、毎年5月頃から7月頃にかけて行われる一連のご養蚕は、昨年は5月1日の御代替わり直後でご即位関連の儀式が続くご多忙な時期だったため、本格的に取り組まれるのは今年からなのです」


2018年の長野県行啓での雅子さま ©JMPA

今回、初めて臨まれた「御養蚕始の儀」

 宮内庁関係者はこう語る。新型コロナウイルスの感染拡大が終息しない中、天皇・皇后両陛下をはじめ各皇族方も公務をセーブされなければならない状態が続くが、雅子皇后は皇后としての伝統儀式である御養蚕始の儀に今回、初めて臨まれたというわけだ。

「養蚕は日本で3世紀から行われていたとされ、『日本書紀』には5世紀の雄略天皇が『皇后に養蚕を勧めようと思い、国内の蚕を集めさせた』という趣旨の記述もあります。宮中で正式に御養蚕を始めたのは、明治天皇の皇后だった昭憲皇太后です。1871(明治4)年に始まり、(大正天皇の)貞明皇后、(昭和天皇の)香淳皇后、上皇后陛下へと引き継がれてきました。

 御養蚕では純国産種の小石丸を育てられていますが、小石丸は産卵数が少ないうえに病気に弱いなど、他の蚕と比べて飼育が難しいことから飼育中止が検討されたこともあったそうです。しかし、上皇后陛下が『もうしばらく古いものを残しておきたい』との意向を示されたことで、飼育が継続となった経緯があります。そのことは皇后陛下もよくご存知で、御養蚕のご継承には並々ならぬ意欲を見せられているそうです」(同前)