「うそみたいな本当の話で、うそみたいなまじめな話をさせていただきたいと思います。皆様もよく知っているうがい薬を使ってうがいをすることによって、コロナの患者さん、コロナがある意味減っていく。コロナに効くのではないかという研究が出ました」

 8月4日の記者会見で、大阪府の吉村洋文知事が、「イソジン」などの商品で知られる「ポビドンヨード」のうがい薬で陽性率が下がったという研究結果を発表しました。そして、この結果に基づき、発熱などの症状のある人やその家族、接待を伴う飲食店の従業員、医療従事者や介護関係者に「ポビドンヨードによるうがいを励行してください」と呼び掛けました。


うがい薬を手に会見する大阪府の吉村洋文知事 ©時事通信社

 この会見が報じられると、ドラッグストアにポビドンヨードのうがい薬を求める人が殺到しました。私も午後5時頃、車を運転中にこのニュースを知って、すぐに何軒かのドラッグストアに寄ってみたのですが、見事にポビドンヨードのうがい薬は売り切れていました。吉村知事とテレビの影響力は、本当に大きいです。

「イソジン吉村」「ウソジン吉村」との声も

 しかし、ツイッターでは医師を中心に、吉村知事に対して非難が殺到しました。「この研究だけで、コロナを予防できるとは科学的には言えない」「ポビドンヨードの風邪予防効果を否定する研究がある」「ポビドンヨードを使い過ぎると、かえってのどを傷めるし、甲状腺機能障害などの副作用もある」というのが主な理由です。

 さらに、「PCR検査を受ける前にうがいをすることで、陽性隠しに使われる」という指摘や、「このタイミングで、ポビドンヨードを販売する会社が中国と合弁会社を立ち上げた。株価を吊り上げるためだ」といった“陰謀論”も飛び交っていました。

 これに慌てたのか、吉村知事もツイッターを連投。「うがい薬でコロナ予防効果が認められるものではありません」と投稿したものだから、ツイッター民から「うそつき」呼ばわりされ、「イソジン吉村」とか「ウソジン吉村」という愛称までつけられてしまいました。とくに、大阪維新の会に苦々しい思いをしていた人たちにとって、格好のネタになったようです。

この研究で「コロナに効く」とはやっぱり言えない

 一緒に記者会見した大阪はびきの医療センターの松山晃文・次世代創薬創生センター長によると、この研究は府内で宿泊療養している軽症者と無症状者計41人を対象に行われました。1日4回ポビドンヨードによるうがいを実施する群と、実施しない群とに分けて、それぞれ毎日PCR検査を行ったところ、うがいを実施したグループで唾液ウイルスの陽性頻度が低下。4日目には非実施群の陽性率が40.0%だったのに対し、実施群は9.5%まで下がっていたそうです。