「落語ブーム」と言われだしてずいぶん経った気がします。

 僕が入門した2009年ごろも言われてました。前年まで放送されていた朝ドラの「ちりとてちん」の影響がまだ色濃く残っていました。

 それから、何度も大きい波・小さい波を繰り返しながらも長いブームが続いています。春風亭一之輔師匠の大ブレイクや、講談では神田松之丞師匠の伯山襲名など寄席の方も大賑わいで、この波に乗ってまたグワーッと盛り上がるかな……と思った矢先のコロナの大流行。

 一気に自粛ムードに転換してしまいました。


林家木りん

 師匠木久扇へのファンレターも少し変わり、手紙と共にアマビエ(疫病除け)のストラップなども入るようになりました。

 我々若手も、お客様から「珈琲代」とか夏は「アイス代」なんて書かれたポチ袋を頂くこともあるのですが、最近では「マスク代」なんてのをもらいました。

寄席の「ソーシャルディスタンス」

 緊急事態宣言が明けて、寄席が再開したのが6月1日。ありがたいことにその初日の末廣亭に上がらせていただきました。

 落語協会より「寄席再開の際のお願い」という紙が郵送されました。そこには客席を減らしてのソーシャルディスタンス。お客さんを入れるのは3列目から。さらに前後左右を1席ずつ空けてと限定しての客入れでした。

 さらにお客様には手の消毒・マスク着用をお願いして……落語家へのお願いでは、お客様の飛沫が飛ばないようコールアンドレスポンスの禁止。また笑いでお客様の飛沫が飛ぶのでなるべくお客様の発声を促す行為を控えてくれとのこと!

 これってお客さんを笑わせてはいけないってことですよね(笑)。

 そんなことでこんな制約ばかりの状態で果たしてお客さんは来てくれるのだろうか? 笑ってくれるのだろうか?と心配でしたが、フタを開ければ平日にもかかわらず開場時間前から行列が! マスク越しでも以前と変わらぬ笑い声を聞くことができマスクをしていることによって飛沫も最小限に抑えることができています!

 久々なのはお客様ばかりではありません。聞く方が久々ならやる方も久々で、楽屋の師匠方も浮足立ってました。

「おい、お前稽古したか?」「いや〜全然してないよ」「俺も、俺も〜」なんて言いあって、テスト前の学生みたいなやり取りをしたりなんかして。そういう人に限って高座に上がったらしっかり仕上がってるんだから、落語家の言うことは信用できません(笑)。