選挙区の有権者に香典や枕花を提供していた公職選挙法違反(寄附行為)の疑いで刑事告発され、東京地検特捜部の捜査を受けていた菅原一秀前経産相(58)。6月25日に東京地検から不起訴処分が発表されたが、「週刊文春」の取材で、別の新たな公選法違反(寄附行為)の疑いが浮上した。


違法行為を認めながらも、謝罪会見したことで不起訴となった菅原氏 ©共同通信社

 菅原事務所の元経理担当スタッフが証言する。

「菅原氏は毎年、練馬区在住の有権者800人以上を集め、関東近郊の景勝地などを巡るバスツアーを催しています」

 案内状には「第24回すがわら一秀後援会連合会練馬東地区バス旅行」と明記してあり、会費はバス代、昼食代、その他込みで1人あたり9500円とある。しかし、

「そんなお金で賄えるわけがありません。毎年、菅原氏は参加者たちから格段に安い会費を集め、集票目的の“接待”を続けてきました。今年に限らず、毎年多額の差額が発生し、そのたびに事務所が補填しているのが実態です」(同前)

 9500円という値段設定は菅原氏の強い意向だという。当時、菅原氏は事務所スタッフらに対し、こう指示を出していた。

「1万円と9500円では聞こえが違う。1万円を超えると人は来ない。1万円以内でもっとオプションを付けられないのか」

「週刊文春」が入手した極秘の内部資料である「ご旅行代金内訳書」を確認すると、行った場所などにもよるが、昨秋のケースでは1人当たり約900〜2800円の足が出ていた。昨年9月に2回、10月に1回の計3回のバス旅行で会費と旅行会社に振り込む代金に合計約112万円の差が生じており、その分は事務所が補填していた。公選法に詳しい神戸学院大学法学部の上脇博之教授が指摘する。

「実費よりも安く有権者をバスツアーに招き、ツアーに参加すると得をするという場合、公選法199条の5で禁止している違法な寄附にあたる可能性が高い」

 このバス旅行は昨年が第24回だったが、

「選挙前の買収と同じような効果を期待して、選挙区内の者に恒常的に金品を寄附していたとすれば、非常に悪質です。公職選挙法の公訴時効は3年で、昨年の旅行はもちろん、総選挙直前の2017年秋の旅行についても捜査すべきだと思います。長年常習的にやっていたとなれば、法的責任だけではなく、政治的、倫理的、道義的責任も問われます」

 2014年に同様の疑惑が浮上したのが、小渕優子経産相(当時)だった。選挙区である群馬5区の有権者向けに東京・日本橋の「明治座」で毎年観劇会を催していたが、小渕氏側が劇場に支払った金額が参加者から集めた費用より毎年1300万円ほど高かったのだ。小渕氏の場合は秘書が、政治資金規正法違反(虚偽記載)で有罪判決を受けている。