現在、中央自動車道で進められている耐震補強工事。東京・日野市の工事を巡り、鉄筋を入れていない手抜き工事の疑いがあることが「週刊文春」の取材で分かった。二次下請けで工事を手掛けた建築会社会長が、実名を明かして詳細に証言した。発注元である中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)は、「週刊文春」の取材に対し、調査を指示したことを認めた。

 同社が二次下請けとして手掛けたのは、東京・八王子市や日野市などの「中央自動車道天神橋他6橋耐震補強工事」。約6億円で落札したのは、福岡県宗像市に本社を置く建設会社、大島産業だった。このうち、「緑橋」で手抜き工事が行われていたと吉岡氏は語る。


図面を示しながら告発する吉岡建築設計の吉岡会長

 今回元請け会社の問題点を告発したのは、東京・三鷹市にある吉岡建築設計の吉岡史人会長。

「中央自動車道の耐震補強工事に途中から下請けとして加わった私たちは、驚くべき光景を目にしました。絶対にあってはならない手抜き工事が行われており、しかもその事実が隠蔽されたのです。耐震のために補強したばかりの橋を支える橋台には、既に長さが1メートル66センチにも及ぶクラック(亀裂)が入っています。大きな地震が起きれば、高速道路の上に架かるこの橋が崩落する恐れもあり、一刻の猶予もありません。このまま黙っているわけにはいかないという思いから、今回、私たちが知り得た事実をすべて正直にお話ししようと決心しました」

 同社が二次下請けとして手掛けたのは、東京・八王子市や日野市などの「中央自動車道天神橋他6橋耐震補強工事」。約6億円で落札したのは、福岡県宗像市に本社を置く建設会社、大島産業だった。吉岡氏が語る。

「今年1月、作業中に弊社のベテラン従業員が工事を終えたばかりの橋脚の下に、鉄筋が野晒しになって放置されているのを発見。橋の強度を上げるために使う鉄筋が、こんなに沢山余るはずがないことは経験を積んだ職人なら即分かる。もしかしたら、補修したコンクリートの中に鉄筋が入っていないのかもしれないとの思いが頭をよぎったと言います」

 ところが、従業員が大島産業の現場担当者に伝えると、こう返ってきた。

「鉄筋が余っているなら、早く片付けろ」

 さらに後日、反対車線側の橋脚でも、鉄筋が一部入っていないことに大島産業の現場責任者が気付いたという。それでも、結局、やり直しはなされなかった。