侍ジャパンの世界一(第2回WBC)、読売巨人軍の日本一を支えたスコアラー・三井康浩氏。配球、打者の癖、対策への適応方法、外国人選手の評価ポイントなどプロならではの視点を『 ザ・スコアラー 』(角川新書)で惜しみなく明かしている。


2009年WBC決勝・韓国戦で「伝説の一打」を放ったイチロー ©文藝春秋

心に残る“釣り逃した魚”

 外国人選手についての思い出は多く、評価していながらも獲得できず、他球団で活躍されてしまった“釣り逃した魚”というのは印象に残っています。

 わたしの場合であれば、いまもオリックスでプレーしているブランドン・ディクソンという投手がそれにあたります。

 彼との出会いは本当に偶然で、2011年にそのほかの選手を見るために出向いた3Aの試合で、たまたま投げているところに出くわしたというものでした。そこでのピッチングに目を見張るものがあったことから試合後に話しかけてみると、日本でのプレーにも興味を持っていることが判明。それで球団に掛け合ってみたのですが、アメリカでの実績があまりにもなかったことから話が前に進まなかったのです。

 ディクソンは、ストレートが140キロ台中盤とメジャーリーグでバリバリ活躍するには遅過ぎます。ただし投げるボールにはキレがあって、キャッチャーミットにボールが到達するまで勢いが衰える感じが一切しませんでした。変化球のコントロールもよく、いまでもよく投げている鋭く曲がって落ちるナックルカーブも有効なボールだと感じました。あの時点で契約できていれば、かなりリーズナブルな契約が結べたはずだったというのもまた、悔しさが募る理由です。