規格外の山男が語る「人生にチャレンジが必要な理由」――望月将悟×田中陽希 対談 #2

( #1 より続く)

 規格外の山男が顔を合わせた対談の後編。「トランスジャパンアルプスレース(TJAR)」を4連覇中の消防士・望月将悟さん(39)と、「日本百名山ひと筆書き」「日本二百名山ひと筆書き」を達成した田中陽希さん(34)が語る「反響」「限界」そして「挑戦」。

◆ ◆ ◆

望月 TJARのことをテレビで観たり、講演会を聞きに来てくれたりした人から「自分もチャレンジしてみようと思う」といわれたりはしますが、正直、最初は自分がゴールすることだけで精一杯でしたからちょっと戸惑いました。でも次第に言葉をかけてもらうことが多くなり、TJARに挑戦することだけでも人に何かしら影響を与えることが出来るんだとわかってきました。

 講演を聞いた中学生からこんな作文をもらったこともありました。「走るのが嫌いだったけれど、望月さんが眠いのを我慢して走ったり、何回も止めたくなったのに頑張ったという話を聞いて、僕もマラソンをやってみたくなった」。こんな感想をもらうとまだ頑張らなきゃという気持ちになりますね。


旧知のカメラマン藤巻さんを前にリラックスする2人 ©藤巻 翔

田中 僕も人前で話す機会は増えたのですが、毎回「何を自分は偉そうなこと言っているんだろうな」と疑問に感じたりしてますね。個人的には変な挑戦をしているやつがいることを知ってもらえたら十分じゃないかなと思っているのですが、それでもいろんな感想をもらいます。

 いちばん驚いたのは、挑戦中に「生きる力をもらっています。自殺を思いとどまりました」と言われたこと。また、ご夫婦で百名山をテレビで見ていて「二百名山ではうちの近くの山にも来るから応援に行こう」と楽しみにしていたら、僕が行く直前にご主人が事故で亡くなられ、応援に来てくださった奥さまと娘さんから報告を受けたこともあります。岐阜県の能郷白山という山で出会った方は、「ガンで余命半年と告げられたんです」とおっしゃって。そうしたら、一年後に岐阜市で講演をした時にも来てくださったんですよ。「あれから頑張って生きています」と、抗がん剤治療の副作用のために頭にバンダナを巻いておられました。

望月 どういう言葉を返すの? 自分もガンの闘病中にテレビで見て勇気をもらったと講演会に来てくださって、目の前で涙を流して喜んでくれた。でも返す言葉が浮かばず、「自分も頑張るから頑張りましょう」としかいえなかったです。


カメラの前で笑顔を見せる望月さん。だが…… ©藤巻 翔

田中 僕は最初はただ黙ってしまいました。気軽に「大変ですね」なんて言えないなと思って。でも次第に「ありがとうございます」でいいんだと気づいたんです。困難な状況を抱えている方にとっては、僕に会うだけで相当大変なはずです。だから、精一杯「来てくれてありがとうございます」と言うだけでいいんだ、と思うようになりました。

関連記事

おすすめ情報

文春オンラインの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索