人が判断をくだすとき、先入観や偏りから陥りがちな「心理バイアス」がある。経営学、認知心理学、行動経済学から導き出された101の心理バイアスの中から、日常に起こりがちな「“これくらい普通”という言葉に潜む罠」を紹介する。

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「自分は平均」と思い込みがちなる理由

 人間というものは何かについて考える際、たとえばある数字が大きいか小さいかなどを考える際に、何かしら拠り所を求めるものです。その最も身近なものは自分自身です。そして、多くの人は、自分は平均的、あるいは標準的なものと思い込んで何かを評価する癖があります。特に、それほど統計 的な調査がなされていない数字についてはその傾向が強くなります。 

 たとえばビジネスウーマンの朝のお化粧の時間はどのくらいでしょうか?  ものすごく長い、あるいは短いという自覚がない人は、自分は標準程度ではないかと思い、それと比較して数字の大小を判断しようとするでしょう。 


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 あるいは、一般の男性ビジネスマンが朝歯磨きや洗顔に使う時間はどの程度でしょうか?  これもその気になれば調査データはあるかもしれませんが、多くの人にとってはそれほど関心を向けるような数字ではありません。そこで、自分を基準に「まあこれくらいかな」と考えてしまうのです。ちなみに、人間が気になる数字の代表はお金(貯金や給与など)に関することと、性に関することです。ただし、後者は自己申告に頼らざるを得ず、正確な数字が取りにくく、また見栄から数字が盛られることがあるので鵜呑みにはできません。