マスクが世界的に議論の的になっている。先日、日本政府は「一世帯2枚の布マスク配布」を決定したと発表した。 


布マスクをかける安倍晋三首相 ©代表撮影/ロイター/アフロ

新型コロナで変わったマスクへの評価

 以前から、マスクは、手洗いとセットで効果を発揮するものの、単独では感染予防の効果はないとされてきた。世界保健機関 (以下、WHO)では、現在でも、風邪症状のある方や、感染者の介護をする方以外の一般の方へのマスク着用は推奨しないとしている。 

 一方、米国疾病予防管理センター (以下、CDC)も、一般の方にはこれまでマスクを推奨しないとしてきたが、先日、ガイダンスを変更し、布製フェイスマスクの使用を一般の人に勧めるという勧告を出した上、サイト上で布製フェイスマスクの作り方も掲載した(※1)。CDCは、あくまでも、人と社会的距離をとる(少なくとも6フィート、1.8メートル程度)ことが重要で、追加の感染拡大防止策として、布マスクの使用を勧めるというスタンスだ。 

 新型コロナウイルスの感染拡大で、これまでマスクが一般的に使用されてきたアジアだけではなく、ヨーロッパでもマスクが見直されつつある。 

 マスクに果たして効果があるのか、また、使い捨てのサージカルマスクではなく、布マスクの場合はどうなのか。今出ている最新の知見を、医師である筆者が検討したい(医師・医療ジャーナリスト、松村むつみ)。 

無症状の人からも感染する 

 新型コロナウイルスは、感染しても8割が軽症あるいは無症状とされている(2割が重症化、5%は重篤化)。これまでマスク単独では感染予防には効果が無く、自分が感染していた場合、咳やくしゃみなどの飛沫を飛び散らせるのを防ぐことで、他者への感染を防ぐ役割があると考えられてきた。

 新型コロナウイルス感染症では、以前から無症状者からの感染が指摘されており(※2)、最近の研究では、最終的に症状が出る人も、症状のない時期から周囲を感染させている可能性が指摘されている(※3)。 

会話だけ、息をするだけでも感染する? 

 新型コロナウイルス感染症が、どのように感染するかを確認しておこう。新型コロナウイルスが飛沫感染・接触感染することは周知の通りだが、新型コロナウイルス感染症においては、「エアロゾル感染」という言葉が注目された。

 日本エアロゾル学会によると、エアロゾルとは、「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体」と定義されている。「エアロゾル感染」とは、飛沫感染の一つのパターンと考えられるが、くしゃみや咳などで排出されたエアロゾルに、新型コロナウイルスの感染力がどのくらい持続するのかは引き続き話題になっている。