『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が異例の大ヒットを記録している。10月16日の公開から3日間で興行収入46億円、観客動員342万人突破。公開直後の土日の興収では「アナと雪の女王2」などを超えて過去最高となった。


『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』予告編より

 もともと2016年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まった『鬼滅の刃』。作者が謎に包まれていること、今年5月に人気絶頂のなか連載終了したことも話題となった。映画が大ヒットしているいま、あらためて最終回直前、作者の素顔に迫った「週刊文春」の記事(2020年5月7日・14日号)を再公開する。なお日付、年齢、肩書き等は掲載時のまま。

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 2016年2月から『週刊少年ジャンプ』で連載が開始された同作。作者は吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)という謎に包まれた新人作家で、今回が初めての連載だ。

 家族を鬼に食い殺された物語の主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)が、唯一生き残ったが鬼となってしまった妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻す方法を探るべく、鬼の親玉・鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)を探す旅に出る、というのがあらすじ。剣術などの鍛錬を積みながら仲間と協力して敵を倒していく様は、ジャンプの王道である。

 

「設定もシンプルで子供にも分かりやすいため、小中学生にも大人気。低学年くらいの子でも食い入るように単行本を読んでいる姿は日常茶飯事です。しかし、鬼を倒すにはその首を切らなければならず、キャラクターたちの作画も不気味で、グロテスクな一面があるのが気になります」(ある保護者)

 こうした心配の声もちらほら上がるが、なぜここまでヒットしているのか。東京工芸大学マンガ学科教授の伊藤剛氏が解説する。

「確かにグロテスクな部分が多いのですが、『鬼滅の刃』はそうした描写に関する批判が大きくない。炭治郎たちの“いい子さ”が作品全体を明るくする作用を果たしているからでしょう。熾烈な戦いを制して鬼を倒した後にも、その鬼の手をぎゅっと握り締めるシーンや、倒した鬼の武器であった手まりを亡骸に添えるシーンなど、主人公の優しさには鬼と人間の分け隔てがありません」

 さらに、ヒットの裏にはこんな理由も。