「韓国の災害対策は、日本より優れている」は本当か?

熊本地震の際に設置されたパーテーションやテントが話題に

 それが、今まで地震安全地帯と言われてきた韓国でも地震が多発する様になると、日本の地震対策を見ようとする研修団の数はもっと増えた。中でも2017年に韓国の慶尚北道(キョンサンプクト)で震度5.4を記録した浦項(ポハン)地震の後は、先進国、中でも日本の災害対策を学ぶ必要性がますます強調されるようになり、その結果が、前述のテントであったと言える。

 避難場所でのプライバシーの問題が指摘された際、韓国のメディアやネットでは東日本大震災や熊本地震で体育館などに設置されたパーティションや災害テントが話題となった。今回の山火事で使われたテントは、それら日本の事例を学んだ上で、更に改良したものであった。

消防庁を中心に「総出動」の対応

 しかし、今回の山火事への対応が今までとは違ったのはそれだけではない。何よりも根本的な対応が変わっていたと言える。 今回の山火事も強風によって初期段階での鎮火に失敗したのが分かると、すぐに様々な対応が行われている。

 まず、中央政府の組織である消防庁が最も早く動き出した。地域の消防隊だけでは拡大した山火事に対応できないと判断した消防庁は、最高レベルの対応指示を発令して全国の消防隊に出動を命じた。この指示を受けた各消防隊は、地域消防のための最低限の人員だけを残し出動した。中部地域の1/2、南部地域の1/3の消防隊と主要施設火災の際に出動する中央119救助本部の特殊消防車両が現地に向かったため、江原道へと向かう高速道路は消防車で埋め尽くされた。消防庁長も自ら現場に向かって消防隊を指揮した。

 また、中央政府に中央災難安全対策本部が設置されると、企画財政部は直ちに特別救護費用を計上し、山林庁は消防ヘリの出動、国防部は陸海空軍の人員と設備を消火に向かわせ、文化財庁は該当地域の文化財資料を移転し安全を確保した。消火には米軍もヘリで支援を行うなど、文字通り「総出動」の対応が行われたのである。

「テント生活が最小限になるように」

 被災者への対応も以前とは違っていた。当初、避難先は体育館であったのだが「テント生活が最小限になるように」という大統領の指示が出されると、公共団体や公的企業が持つ研修施設が、家屋が焼かれた避難者の一時的な生活の場として提供されるようになった。

 また、サムスンやLG、ロッテなどの大企業、芸能人らが被災者救援のための支援金や救護物品を提供した(X-JAPANのYOSHIKIの寄付も話題になった)。そして全国災害救護協会(希望ブリッジ)などの救護団体がそれを受けて被災者に必要な物品を提供した。前述のテントもロッテが希望ブリッジに提供し、設置されたテントだったのである。

 この様に、韓国の災害時の対策が以前とはまったく違う形に変わることができた理由は何だろうか。それを明らかにするためには先の大統領選挙を振り返る必要がある。


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