新型コロナウイルス(COVID-19)が全地球規模で猛威を振るっている。5月6日現在で、世界全体の感染者数は360万人を超え、死亡者総数も25万人を突破した。世界最多の感染者を記録している米国では、罹患者119万人を超え、死者数も7万人を上回るなど収束の気配は見えない。

 なかでも最も深刻なのが、都市封鎖されているニューヨーク市だ。人口840万人のうち死者は1万人以上。病院の機能は麻痺し、「医療崩壊」している。多民族都市のニューヨークに住む日本人約5万2000人のなかには、コロナ禍の犠牲になった人がいる。


ニューヨークのセントラルパークには臨時野営病院が設置された ©AFLO

 今回話を聞いたのは、4月に入ってニューヨーク在住の叔父と叔母夫婦の3人を、新型コロナウイルス禍により相次いで失った徳永克彦氏だ。徳永氏は世界的な航空写真家で、1年の7割ほどを海外での取材に費やしている。今回、ニューヨークで亡くなった親族3人とも現地に身内がいなかったため、死後の手続き一切を徳永氏が担うことになったのだが、ニューヨーク市の「葬儀崩壊」は想像を超えていたという。(全2回の1回目/ 後編に続く )

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感染判明から死亡までの様子がまったくわからない

 ニューヨークに住む叔父が亡くなったのは4月8日のことです。叔父の友人からの知らせでした。今年88歳の叔父は、もう60年近くニューヨークに住んでいますが、生涯独身を貫いた彼にとって、そのプエルトリコ人男性の友人は、身内同然の存在でした。

 叔父は、現在97歳の私の父を長男とする4弟妹の末弟です。叔父の死因は新型コロナウイルスによる肺炎とのことでしたが、感染が判明した時点で面会謝絶となり、そこから死亡までの様子はまったくわからないということでした。

 高齢の叔父はマンハッタンにマンションを所有していました。体調が優れないときはナーシングホーム(医療も受けられる老人ホーム)で過ごしていましたが、さらに悪化するようなことがあれば病院に入院し、治ればホームか自宅マンションに戻るという生活でした。

病院から遺体を移す手続きを進めるも……

 今回もホームで体調を崩して病院に移ったのですが、すでにそこで感染していたのか、それともその後の院内感染なのか、よくわかっていません。亡くなったのは「マウントシナイ・ベス・イスラエル病院」という、ニューヨーク市内でも歴史ある大きな総合病院です。

 ところが、遺体を移そうにも、近親者でない叔父の友人には手出しができませんでした。そこで私の方で事を進めることになったのですが、これがとんでもなく大変でした。