【群馬発 輝く】日本人に合う独自路線のコーヒー店 大和屋

【群馬発 輝く】日本人に合う独自路線のコーヒー店 大和屋

 群馬県で暮らしていると、喫茶店や焙煎コーヒー販売店がたくさんあるのに気付かされる。「コーヒー好き」が多い県で、焙煎コーヒーの先駆けを担い、2020年に創業40年を迎えるのが大和屋(高崎市筑縄町)だ。

 大和屋のコーヒーのおいしさの秘密は木炭を使った焙煎法にある。ガスと比べてコストや技術の難易度は高いが、独特の香りが生み出される。自社焙煎工場で熟練した職人が丁寧に焙煎して仕上げ、焼きたてが全国各店舗に送られる。

 「コーヒーが最初に作られたときは電気もガスもなかった」と、創業者の平湯正信社長は語る。コーヒーの「原点」への強いこだわりが人気につながっている。

 和の器で好評

 平湯社長はもともと大手コーヒー製造会社に勤めていた。30歳で支店長として高崎に赴任。3年ほどを過ごした後、名古屋、小樽、千葉、郡山と転勤生活を続けてきたが、高崎に定住して、趣味で集めてきた膨大な骨董(こっとう)品などのコレクションで「骨董屋をやろう」と思い立った。

 一部のコレクションを売り払って資金に充て、高崎市上並榎町の自宅の約7坪(約23平方メートル)のスペースを店舗に改装。1980年10月に古物商として事業をスタートさせた。

 サラリーマン時代にコーヒー豆を扱っていた経験を生かし、まだ洋風のコーヒーカップが主流だった時代に和の器でコーヒーを客に提供すると、これが大好評。コーヒー豆と焼き物を扱うようになり、サラリーマン時代の部下4人も「新しい会社を一緒にやりたい」とついてきた。

 1990年には筑縄町のハナミズキ通り沿いに現在の古民家風の建物を新築し、本店としてオープン。その後、全国へ拡大し、現在は直営店の高崎本店と高崎吉井店の2店舗と、グループ店39店舗を北海道から九州まで全国展開。ネット販売も行っている。

 グループ店との関係は、いわゆる「のれん分け」。コーヒー豆そのものは本店と同じだが、営業時間などの細かい規則はない。地方での知名度を高めるため、各店のオーナーに独自のやり方で任せている。

 口コミで拡大

 ここまで事業拡大ができた要因は口コミという。客に納得して購入してほしいとの思いから「本日のコーヒー」を無料で1杯提供する「お試し珈琲」は創業以来、全店で続けている。

 高崎本店には全国各地の窯元や作家の焼き物約1万点がずらりと並ぶ。コーヒーカップや茶碗(ちゃわん)に皿など、暮らしを豊かに彩る食器などを豊富に取りそろえる。こうしたきめ細やかさが多くの客をつかんでいるというわけだ。

 社長のコーヒーへのこだわりは後進にも引き継がれている。長男の平湯聡常務は1年半にわたるブラジル修業で「サントス商工会認定コーヒー鑑定士」の資格を取得した。

 コンビニコーヒーやボトルコーヒーなど業界に新しい風が吹く中、大和屋は独自路線を貫く。目指すのは「日本の風土に合った、日本人の味覚に合った珈琲」(平湯常務)だ。

 漢字の「珈琲」の和のイメージは、味づくりから古民家調の店舗の建物、店内陳列、切り文字でのパッケージデザインなどにまで具現化されている。

 平湯常務は「大和屋の『珈琲豆』を売っていきたいという根底は変えずに、時代やニーズに合わせてずっと支持されるようにしたい」と意気込んでいる。(斎藤有美)

【会社概要】大和屋

 ▽本社=群馬県高崎市筑縄町66−22 ((電)027・370・2700)

 ▽設立=1980年10月

 ▽資本金=3000万円

 ▽従業員=54人

 ▽売上高=7億8000万円(2018年3月期)

 ▽事業内容=コーヒー豆、陶磁器、食品の卸・小売販売、焼き菓子の製造、卸・小売販売

 ■「若いファン増やし、東京出店に意欲」平湯正信社長

 −−和の器でコーヒーを提供する発想は斬新だった

 「みんな見たことがなかった。器を欲しがる人もいたり、焙煎したコーヒーを欲しいと言われたり、どんどん声が大きくなり、骨董(こっとう)屋から豆の製造、販売に業態を変えた」

 −−大和屋の名前の由来は

 「設立当時、屋号を考えていたとき、自分は長崎県南島原市加津佐町己大和町の出身だから、それにちなんだ名前にしようと思った。長崎屋は既に使われていたので大和屋と名付けた」

 −−オリジナル商品は

 「『石蔵熟成珈琲』。ひんやりとした大谷石の石蔵を造るところから始め、モーツァルトの楽曲を聴かせて、ゆっくりと時間をかけて豆を熟成させている。大和屋だけにしか作れない商品だ」

 −−心掛けていることは

 「見た人がときめくようなものを作ると成功する。商品の並べ方にしても、お客さんがどういうふうにときめいてくれるかを考えなくてはいけない」

 −−骨董品などにこだわる理由は

 「昔のモノは何となく愛嬌(あいきょう)がある。現在のモノはパソコンなど性能を良くしても、無機質さを感じてしまう。ペットボトルとは違い、瓶は見ているだけでいろいろと考えられる」

 −−今後の展望は

 「店舗数を増やしていき、若い人など大和屋のファンの層も増やしていきたい。まだ開拓できていない、激戦区の東京都の方でも出店できればいいと思っている」

 −−「お試し珈琲」で困ったことは

 「長年好評の『お試し珈琲』は、豆の販売につなげる一つの方法だが、好きな種類が選べない、順番待ちなどで落ち着けないという意見もある。今後、有料でも好きな珈琲をゆったり楽しめる喫茶の業態も検討している」

【プロフィル】平湯正信

 ひらゆ・まさのぶ 中学卒業後、印刷会社、大手コーヒー製造会社を経て、1980年10月に大和屋を創業。焙煎をはじめ、喫茶店のオーナーの相談役など幅広くコーヒーの知識を学ぶ。70歳。長崎県出身。

 ■各国えりすぐりの豆を量り売り

 大和屋の創業当時からのイチ押しは「木炭焙煎珈琲豆」だ。

 ブラジルやインドネシアなどの契約農園をはじめ、世界各国からえりすぐった豆を買い付け、自社工場で職人が木炭の火力を絶妙な加減でじっくりと焙煎。独自の芳醇(ほうじゅん)な香りと豊かな味わいを作る。

 鑑定士がカッピングし、味・色・香りを最終的に確認。こうして自社基準を満たした豆だけが店頭に並ぶ。豆は、形、大きさなどがよく見えるようにガラスの瓶に入れ、客からの注文に応じて100グラムから量り売りをしている

 高崎本店は、大八車を使用した照明や全国有数の窯元のコーヒーカップなど和にこだわっており、40種類以上の木炭焙煎珈琲豆を選ぶことができる。


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