新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、沖縄県の玉城デニー知事の対応をめぐり、Twitterで、知事が南城市の瑞慶覧長敏市長とカチャーシーを舞う動画を添付して批判した、次の投稿が拡散した。

沖縄県民は1日に入港し下船したクルーズ船の乗客からコロナウイルスが感染していないか、発症するのではないかと戦々恐々としている中でデニー知事と瑞慶覧南城市長の華麗なるコラボが披露されました。危機管理にあまり指導力を発揮しない知事ですが、このような事をさせると水を得た魚のようです。

この情報は、誤りだ。玉城知事が瑞慶覧市長とカチャーシーを踊ったのは事実だが、それは1月25日のことで、クルーズ船が那覇に停泊した2月1日よりも前だ。BuzzFeed Newsは、ファクトチェックを実施した。


Twitterより


まず、投稿にある「1日に入港し下船したクルーズ船」とは、船内で続々と新型コロナウイルスによる感染者が出ている「ダイヤモンド・プリンセス」と見られる。

同船は1月20日、横浜を出発。22日に鹿児島に寄港すると、25日に香港に。その後、ベトナムや台湾を経て、那覇港に着いたのは2月1日午後1時半頃だった。

この時、約2600人の乗客が、那覇検疫所が検疫を受けると、一時下船して市街地へ観光に出かけた。

感染者を把握したのは、那覇を"離れた後"

時事通信

停泊するクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」=2月10日、横浜市の大黒ふ頭


船の乗客のうち、初めての感染者が発覚したのもこの日だった。この感染者は、香港在住男性で、1月25日に香港ですでに下船していた。

厚生労働省検疫所業務管理室によれば、男性の感染が分かったのは2月1日で、香港政府から日本政府に通達があったのは翌2日。船は那覇を離れており、横浜に向けて航行中だったという。

その後、船は3日に横浜に着いた。

香港の男性の感染発覚を受け、厚労省は那覇で実施した検疫を取り消し、その日から乗客乗員を船内に留めて再検疫を実施。すると、5日に10人が感染していたと発表された。

その後も、続々と感染者が出て、対応した検疫官の感染も確認される事態となっている。

一方、カチャーシーを踊ったのは...

南城市 / Via city.nanjo.okinawa.jp


玉城知事と瑞慶覧市長のカチャーシーについては、どうか。

Twitterの投稿者がツイートしたのは、1月25日に撮影され、もともと別のユーザーがツイートした動画だ。

南城市によると、この日、玉城知事は瑞慶覧市長の誘いを受け、同市の久高島を訪れた。

島における旧正月の伝統行事で新年を祝う「シャクトゥイ」があり、行事に市長とともに参加。カチャーシーを2人で踊ったという。

ダイヤモンド・プリンセス号の旅程でいえば、那覇に着く7日前。初の感染者である香港の男性が、香港で下船した日だ。そして、その時点ではまだ、この男性の感染の有無は分かっていなかった。

つまり、沖縄県民が「1日に入港し下船したクルーズ船の乗客からコロナウイルスが感染していないか、発症するのではないかと戦々恐々としている中でデニー知事と瑞慶覧南城市長の華麗なるコラボが披露」されたのではない。

Twitterの投稿はすでに削除されているが、2月8日午前4時時点で、約4千リツイートされていた。

玉城知事の対応

時事通信

「ダイヤモンド・プリンセス」に向かう防護服を着た人たち=2月10日、横浜・大黒ふ頭


一方、沖縄タイムスによると、玉城知事は1月31日、感染予防のため、手洗いの徹底やマスクの着用などを心がけるよう県民に呼びかけ、地域の保健所や県に相談するよう求めた。

2月1日までに県衛生環境研究所で感染の有無を調べる検査体制が整い、3日には県危機管理対策本部会議を開き、全庁体制で取り組むよう指示した。

また、琉球新報によれば、厚労省による船での再検疫の結果、10人の感染が確認された5日、県内で船の乗客が利用した観光バスの運転手やガイド、タクシーの運転手を特定し、ウイルス検査を求めるよう関係部局に指示するなどした。

厚労省は、現時点で、沖縄県での感染者は確認されておらず、引き続き日本において流行が認められている状況ではない、としている。

風邪やインフルエンザ対策と同様に、咳エチケットや手洗いなどが重要で、対策に努めてほしいと呼びかけている。

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正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。

ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。



ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。

不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。

根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。



誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。

虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。



判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。

検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。