銀行は堅い−。そんなイメージから脱却しようと、千葉興業銀行は1月から、行員が自由な服装で勤務する「オフィスカジュアル」を導入した。若手行員の発案を採用し、本部で働く行員にはスーツ着用を強制せず、デニムやニットなどカジュアルな格好での勤務を可能に。支店を含む全ての行員には通年の「ノーネクタイ勤務」を認めた。TPOに合わせた服装を考えることで、行員の自律意識を高める狙いだ。

 発案したのは、経営企画部の中川貴仁さん(32)。「銀行員は決められたルールの中で動くことは得意だが、これからは何かを変えようとする行動力やそれを受け入れる経営姿勢が必要だ」と感じ、意識改革の一環として若い世代が関心を持ちやすいドレスコードの見直しを企画したという。

 昨秋から行内で意見を集め、すでに服装自由化を実施する他県の地銀や民間企業にもヒアリング。同行は2002年に行員の制服を撤廃しているが、顧客の目線に立ち、当面は本部でのみオフィスカジュアルを取り入れることにした。露出の多い短パンや、かかとの無いサンダルは禁止。本部の行員でも外回りで顧客と接したり、支店で業務を行ったりする際はスーツを着るなど、TPOに合わせた運用を実施している。

 さらに採用面接や企業説明会に参加する学生にもリクルートスーツの着用は必須とせず、自由な職場というイメージを伝えて雇用促進につなげたい考えだ。

 服装自由化の動きは県内の他の地銀にも広がる。千葉銀行は毎週金曜日、本部と本店・東京営業部を対象にノーネクタイ勤務を導入。顧客対応を行わない本部行員は私服も可能とした。京葉銀行も導入に向けた検討を進めている。

 年始の業務が本格化した9日、千葉市美浜区の千葉興業銀行本部では、男性行員が柄入りのシャツやチノパン、デニム姿でパソコンに向かっていた。女性行員は元々スーツ着用ではないが、従来よりもラフなニットセーターなどで勤務。経営企画部の渡辺大助さん(37)は「スーツよりも着心地が楽で、仕事の効率も上がりそう」と話す。

 着心地だけでなく、職場の雰囲気にも変化があったという。「上司がカジュアルな服装だと、普段より話しかけやすい」と同部の高橋彩映さん(27)。オフィスが明るく感じるなど、行員の評判は上々のようだ。

 中川さんは「服装の自由化はあくまでも、行動に移せば組織は変わると証明する手段。これを機に、行員が今までの『当たり前』を変えようと行動する流れが生まれれば」と期待を込めた。