「こんな静かなところでこんなことが起こるなんて」。坂井市の龍ケ鼻ダム湖で会社員青柳卓宏さん(40)の遺体が見つかった事件。遺体発見現場近くの集落の住民らからは驚きの声が上がった。

 一九八八年に完成した龍ケ鼻ダムは、堤の高さが七九・五メートルで総貯水容量は一千二十万立方メートル。釣り人が訪れる以外は普段は人けがあまりないが、遺体が発見された二十九日午後は警察車両や報道ヘリで、一時騒然となった。

 集落の複数の住民によると、数人の釣り愛好家が二十九日午後二時すぎにダム湖を訪れ、間もなく遺体を発見した。目撃者は「水が濁っていて、足だけが見えた」と話しているという。

 「かなり前に若者の車がダムに落ちる事故があったが、まさかこんなことになるなんて」。ダム湖などの漁業権を持つ竹田川漁業協同組合の担当者は信じられない様子。ダム管理事務所の担当者は「詳しいことはよく分からない」と言葉少なで、六十代女性は「最近は散策や登山に来る人も見掛けるが、基本的には車なんかは限られた人しか通らない」と話した。

 青柳さんが勤務していた福井市を拠点とする学習塾には動揺が広がった。同僚の一人は「仕事は一つのことをきちっとやるタイプだった。先週の金曜日は普通に授業をしていたらしい。悩みがあるようには見えなかった」と悲しんだ。 (堂下佳鈴、畑明日香、波多野智月)