北ア・船窪小屋経営の松沢さん夫妻が引退

北ア・船窪小屋経営の松沢さん夫妻が引退

 北アルプスで「ランプの山小屋」として知られる船窪小屋(標高二、四五〇メートル、大町市)を約六十年間切り盛りしてきた松沢宗洋さん(80)と寿子さん(81)夫妻が引退し、先月末にヘリで山を下りた。経営は長男の宗志さん(48)に引き継いだ。松沢さん夫妻は「小屋は二人の宝物。お客さんのおかげで有意義な人生を楽しめた」と感無量だ。
 船窪小屋は木造平屋建て、宿泊定員は五十人。長年発電機を置いていなかったため、食堂のいろりで暖を取り、夜には灯油ランプで室内を照らした。冷蔵庫がなかったので食事は岩穴に貯蔵した食材を使い、天ぷらなどの手料理を提供してきた。寿子さんは「小規模なので手間暇をかけることができた」と話す。
 小屋は、寿子さんの父・福島宗市さんが一九五四(昭和二十九)年に創業。翌年に宗市さんが雪崩に巻き込まれて亡くなり、寿子さんが引き継いだ。
 寿子さんと宗洋さんは登山サークルで知り合った。六一年に結婚し、二人三脚で小屋を切り盛り。子育てなどが忙しいころは従業員に任せることも多かったが、還暦を迎えたころから小屋に常駐して毎年七月から十月初めまで運営した。
 二人は多くの登山者らから「お父さん」「お母さん」と慕われた。代替わりは、体力がなくなってきたことを感じたから。今季は七月末にヘリで一緒に下山するまで、宗洋さんは約一カ月、寿子さんは約二週間余り、山小屋に滞在した。宗洋さんは「もう小屋に来ることはないと思うと、思いが込み上げて言葉がない」、寿子さんは「二人の思い出が詰まった山小屋を息子に引き継げてうれしい」と語る。
 長男の宗志さんは二十代半ばに米国の大学でホテル経営を学んだ。今シーズンから小屋に発電機を置き、食材を保存する冷凍庫を導入。近代化にも努めている。宗志さんは「登山者に、安心・安全でほっとできる空間を提供したいという思いは両親と同じ。両親が培ってきた登山者へのおもてなしの心を受け継ぎたい」と意欲満々だ。
 (林啓太)

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