<白球> 伊藤主将、泥くさくチームけん引

<白球>  伊藤主将、泥くさくチームけん引

 「付いてこい」とチームを率いる主将ではない。「プレーでみんなを引っ張っていきたい」。その言葉通り、この日、本塁打を含む3安打の活躍でチームを鼓舞し続けた。
 序盤、最速140キロ台後半の速球を持つ注目の相手左腕に、打線は抑え込まれていた。三回、先頭で打席に立つと、初球をフルスイング。バックスクリーンに届く大アーチで重い空気を振り払った。本塁を踏み、ベンチで待つ仲間に笑顔で迎えられた。
 二年前、中京大中京が夏の甲子園に出場した時は、捕手だった二歳上の兄寛士さんらの活躍をスタンドから見守った。新チームで主将を任され、兄に当時エースだった上野翔太郎主将のことを聞くと「プレーで引っ張るやつだった」。先輩の姿を目標に定めた。
 だが、センバツ出場を目前にした昨秋の東海大会準決勝では、あと1アウトのところで勝利を逃した。「俺、頼りないんで」。自身をそう表現したこともある。夏の大会前、仲間とチームのスローガンを「泥団子集団」と付けた。一人ずつは泥でも、集めて磨けば強い集団になる、との意味を込めた。
 最後の夏に、やっと踏めた甲子園の土。三回に先制したものの、その後、回を追うごとに調子を上げる相手投手に打線は沈黙。逆に六回以降、投手陣がつかまり、一時は8点差をつけられた。
 それでもチームは諦めなかった。九回に二塁打や四球がつながり2得点。さらに2死満塁で打順が巡ってきた。
 「絶対につなぐ」と心に決め、打った球は一、二塁間を抜けた。4点差まで迫り、一塁で小さくガッツポーズをした。「負けは悔しい。だけど試合の最後で粘り強さ、泥くささを出せたかな」。真っ黒に日焼けした顔に白い歯が光った。

 (安福晋一郎)

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