笛で高齢者の心グイッ ニセ電話詐欺の防犯講話

笛で高齢者の心グイッ  ニセ電話詐欺の防犯講話

◆熱海署長、冒頭に懐かしの曲
 多発するニセ電話詐欺被害を食い止めようと、熱海署の奥田交治署長(52)が管内で開く防犯講話で、特技のポケットサックスの演奏を披露している。地域では「笛を吹く署長」として評判で、講話の冒頭で懐かしの童謡を奏でることで高齢者の関心を引きつけ、防犯意識の向上にひと役買っている。
 七日に熱海市内の寺院で開かれた防犯講話。冒頭であいさつした奥田署長がかばんからポケットサックスを取り出すと、「赤とんぼ」「ふるさと」の二曲を演奏した。懐かしい曲を耳にした七十〜八十代の高齢者百人は誰からともなく、歌詞を口ずさみ始めた。本題の講話の前に高齢者の注目を集めた格好だ。
 「曲のように思いやりの故に日本文化がある。だが、家族への思いやりを逆手にとってお金を奪おうというのが振り込め詐欺なんです」。演奏を終えた奥田署長は、犯罪の本質について真剣な表情で語り掛けた。
 続いて、同署生活安全課の署員が犯人役と被害者役を演じ、巧妙な手口を詳しく説明した。県警は不審電話の着信を遮断する専用機器の普及を目指しているが、熱海署は身近な対処法も紹介。息子や孫を名乗って現金を要求する電話がかかってきた場合は「いったん通話を切って、登録している家族本人の電話番号に必ずかけ直してください」と呼び掛けた。奥田署長の演奏や話と関連づけて「おもいやりかけ直し作戦」と名付け、定着を図っている。
 「警察の署長さんは偉い人という印象なのに、演奏する姿を見て気さくに感じた。話を聴いてみようという気持ちにさせられた」。講話に参加した市内の女性(74)が感想を話した。
 ポケットサックスはハワイ由来の楽器。長さ約三十五センチで縦笛のような作りだが、サックスに近い音色が出せる。奥田署長は十数年前、東京都内で外国人の路上ライブを見たのががきっかけで興味を持ち、楽器を購入して独学で覚えた。
 これまでは酒席などで隠し芸として演奏していた。今年三月に県警本部警務課次席から熱海署長となり、自ら防犯講話に出向くことを決意。「印象に残る形で高齢者に注意を呼び掛けられないか」と考え、演奏を採り入れた。
 四月時点で熱海市の六十五歳以上の高齢化率は45・5%で県内市町で三番目に高い。高齢者をターゲットにした詐欺被害の防止が課題となっており、奥田署長は「被害が少しでも減るのなら何でもやりたい」と力を込めた。
 <県内のニセ電話詐欺> 県警によると、電話や郵便で現金や電子マネーを要求する特殊詐欺事件は今年7月までに県内で249件(被害額4億9105万円)。そのうち、息子や孫などを装って現金をだまし取るニセ電話詐欺は168件(同2億8143万円)に上り、昨年1年間の170件(同3億2903万円)に迫っている。熱海署管内でも今年は6件(被害額462万円)で、すでに昨年1年間の6件(同1260万円)に並ぶ。未遂を含めた不審電話も多いという。
(中谷秀樹)

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