運転の女に懲役8年求刑 浜松5人ひき逃げ

◆検察「責任能力ある」
 浜松市中区鍛冶町のスクランブル交差点で二〇一五年五月、五人が死傷したひき逃げ事件で、殺人などの罪に問われた中国籍の無職于静(ユジン)被告(34)の裁判員裁判の論告求刑公判が十四日、静岡地裁浜松支部(山田直之裁判長)であった。検察側は「被害結果が重く、危険で悪質な犯行」として懲役八年を求刑、弁護側は「被告は心神喪失状態だった」として無罪を求め、結審した。判決は二十四日。
 公判では、殺意や責任能力の有無が争点。検察側は「夫の言動に強いストレスをため、衝動的にアクセルを踏んだ」と指摘。多数の歩行者が横断中の交差点に赤信号を無視して進入し、人を死なせても構わない「未必の故意」による殺意があったと訴えた。
 于被告の持病の統合失調症については「影響はあった」としたものの、鑑定医の見解を基に、「完全責任能力はある」と主張した。
 一方、弁護側は「殺意を抱く動機が存在しない」と主張。統合失調症による妄想に支配され、「善悪の判断や行動を制御する能力を失っていた」とし、心神喪失状態で責任能力はなかったと訴えた。仮に心神耗弱状態だったとしても、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)を適用し、執行猶予付きの判決が妥当と主張した。
 最終意見陳述で、于被告は「本当に申し訳ない。いくら謝っても命が返ってくることはないが、毎日後悔している。ただ私が病気でなければ、人をはねていなかったと思う」と述べた。
 起訴状などによると、于被告は一五年五月、赤信号を無視して乗用車を急発進させ、スクランブル交差点内に進入。横断中の中区の主婦水鳥真希さん=当時(31)=をはねて死亡させ、ほか四人にも軽いけがを負わせて、逃走したとされる。

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