希少な「美濃柴犬」を守れ 県保存会「せめて300頭に」

希少な「美濃柴犬」を守れ  県保存会「せめて300頭に」

 猫ブームが注目されて久しいが、今年はいぬ年。赤みを帯びた毛色が特徴の希少犬「美濃柴犬」は美濃地方発祥とされる。県美濃柴犬保存会は、希少な種を守り育てていこうと地道な活動を続けている。
 「ワンワン!」。本巣市石神にある県保存会代表理事の青木敏彦さん(72)の自宅を訪れると、赤い毛並みの七歳のオス、政宗号が迎えてくれた。最初は警戒するようにほえていたが、青木さんに促されて餌をやると、尻尾を振って足踏み。愛くるしい表情を見せた。
■戦中に捕獲され激減
 美濃柴犬は、柴犬の一種。柴犬とは、日本犬の小型犬の総称で、大型犬の秋田犬と、中型犬の北海道犬、甲斐犬、紀州犬、四国犬とともに、この六品種が国の天然記念物に指定されている。柴犬には、信州柴犬、山陰柴犬などもある。
 美濃柴犬は、戦前は美濃地域に多く生息していたと言われている。だが、戦中に防寒用の毛皮や食用のために捕獲されて激減。一時は絶滅したとも言われる中、一九七六(昭和五十一)年に県美濃柴犬保存会が設立された。県保存会に登録する美濃柴犬は、当時はわずかだったが、現在は百七十頭にまで増えた。ここ数年は、年間で十〜十五頭程度の子犬が生まれている。この一年間では、二十三頭の子犬が生まれて好調だった。
■100頭の遺伝子を分析
 美濃柴犬の遺伝子調査を続ける岐阜大応用生物科学部の松村秀一教授(52)=動物遺伝学=は「美濃柴犬は、一つの独立したまとまりとして区別できる遺伝子的な特徴がある」と話す。さらに「人間に対して攻撃的とされる遺伝子が少ない」という調査結果も得た。
 一方、問題点として「個体数が少なく、遺伝的な意味での多様性が失われやすい。血縁の近い物同士の交配が生じかねない」とも指摘する。松村教授は二〇一三年から、およそ百頭の個体の遺伝子を分析してきた。今春、その調査結果を県保存会に提供し、繁殖に役立ててもらう。
 これまで県保存会は、近親交配を避けるために血統書を見ながら適したペアを探してきたが、青木さんは「遺伝子という重要な情報が得られるのはありがたい。また、人に対して攻撃的でない、というのも魅力。今後の売りにしたい」と喜ぶ。
 「赤一枚の毛」とも言われる美濃柴犬だが、胸や足、口元に白い毛が交じるものも少なくない。青木さんは「白くさせる遺伝子が分かれば、より理想的な美濃柴犬に近づけるかもしれない」との期待も込める。
■組織の空洞化に懸念
 課題は、県保存会の組織が空洞化しつつあること。県保存会は、子犬が生まれた際は会員になることを条件に有償譲渡している。現在の会員数は百二十人だが、そのうち岐阜県内在住者は五十四人。ここ十年、遠方の会員が増加傾向にあるという。岩手、東京、福岡など、飼い主は全国に広まっている。北海道や米国からも問い合わせがあり、この先も空洞化は進んでいくとみられる。
 青木さんは「今の目標は、頭数を倍増させること。せめて三百頭までにしたい。そのためには、私たち県保存会という母体が、組織としてしっかりしなくてはいけない。発祥の地とされるこの地元で、会員がもっと増えてくれれば」と願っている。

 (秋田佐和子)

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