津市内の小中学生とベトナム北部のハイフォン市の子どもたちがオリジナルの絵本「はなびちゃんとはこちゃん」を完成させた。いじめをテーマに、人を思いやる心を大切にしてほしいとの思いを込めた。市内の小学校などに配られる予定だ。
 物語は、赤色の髪の毛が原因でいじめられていた「はなびちゃん」を、転校生の「はこちゃん」が学校の友達と協力して守る内容。最後はいじめっ子と仲直りし、「この幸せな日々が、ずーっと、続きますように。」と締めくくっている。
 子どもたちが内容を考えて文章で表現し、絵もクレヨンや色鉛筆で自ら描いた。言葉遣いの修正のほかに大人は手を加えていない。
 ハイフォン市はベトナム第三の都市。絵本作りは、県青年国際交流機構(津市)が、ハイフォン市の日本語学習塾に通う子どもたちとインターネット電話で交流するイベントを重ねる中で「話すだけじゃなく形に残る物を残したい」と二〇一八年十一月に始めた。
 当時、イベントに参加していた津市内の小学生三人=うち一人は現中学生=と、ハイフォン市の子ども約三十人が絵本作りに携わった。ベトナムで見開き二ページ分の絵と文章を作り、続くページを日本で作って送り返すリレー方式で、ベトナムで十四ページ、日本で六ページを仕上げた。
 文章は、三重大のベトナム人留学生ホアン・タン・ダットさん(24)がベトナム語と日本語にそれぞれ翻訳し、四日市市のイラストレーターおーじ・かおりさん(37)が表紙などを描いた。
 津市養正小四年の飯塚友暉君(10)は、いじめが怖くて登校できないはなびちゃんが家で泣いているページを担当した。「話を考えるのが難しかった。ベトナムにいる皆と一緒に絵本を作れて良かった」と喜んだ。
 十一日には、ハイフォン市の子どもたちと完成を祝う会を鈴鹿市内で開いた。製作に関わった人ら十四人が集まり、ネット電話で飯塚君が「絵本が完成してうれしい」と伝えると画面の向こうで笑顔が広がっていた。
 県青年国際交流機構の丹羽智佳子副会長(34)は「仲良くしたいとの思いは国が違っても同じと分かった。多くの人に読んでもらい、国際交流のきっかけになればうれしい」と話している。絵本は三月末までに津市内全ての小学校と図書館に配られる。

 (渡辺雄紀)
 【土平編集委員のコメント】 今日紹介したのは、津市を対象にした津市民版の記事です。以前も書いたことがありますが、私が初めて「生」の外国人を見たのは、小学校から訪れた1970年の大阪万博でした。同級生も皆、興奮していたことを懐かしく思い出します。あれから半世紀。今の子どもたちにとって「外国」は、ずっと身近なものになっています。今回、津市とベトナムの子どもたちはインターネット電話で話し、メールも使ってやりとりしたと思われますが、こうした技術の発展も、距離を縮めています。双方が力を合わせて完成した絵本。お互いに忘れられない経験になったことでしょう。