十五日に発生から四年を迎えた軽井沢町のスキーツアーバス転落事故。業務上過失致死傷容疑などで二年半前に書類送検された事故当時のバス運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)の社長らへの刑事処分は、いまだ下されていない。遺族からは社長らの責任追及と早期の原因究明を求める声が上がる。
 「なぜあの場所で息子たちは命を落とさなければならなかったのか。まだ刑事判断が出ていないのはつらい」。次男の田原寛(かん)さん=当時(19)=を亡くした父義則さん(54)=大阪府吹田市=は、事故現場のそばに建立された祈りの碑に献花後、報道陣の取材に苦しい胸中を語った。
 事故では大学生ら十五人が死亡、二十六人が重軽傷を負った。「イーエスピー」の高橋美作社長(58)は同日午前五時前、祈りの碑に献花し、謝罪。遺族が、同社を相手取った損害賠償請求訴訟は一部で和解が成立するなどしたが、「真摯(しんし)に対応したい」と述べるにとどまり、これまで通り刑事責任については言及しなかった。
 遺族会「1・15サクラソウの会」の代表も務める田原さんは、「原因がどこにあったのかはっきりしなければ再発防止(の取り組み)も終わっていない」として、刑事裁判での真相解明を望む。
 一方、事故を受け、国土交通省は貸し切りバス事業の許可に更新制を導入するなど八十五項目の再発防止策を策定。バス事業者への巡回指導を強化したが、巡回にあたる人員が足りない状況が続く。
 田原さんは「(再発防止策は)八割くらいは終わっているように見えるが、安全は百二十点が必要。百パーセント安心できる仕組みになってほしい」と対策の一層の強化を願った。
 東京農工大一年だった長男の大谷陸人さん=当時(19)=を亡くした父慶彦さん(54)も祈りの碑に献花した。「(国の再発防止策に)不十分なところはあるかと思うが、この事故をきっかけに、ずいぶんと変わったのかなと考えている」と語り、「今後も、バス事故、交通事故を含めて二度とこういうことがないようにお願いしたい」と求めた。
 (安永陽祐、城石愛麻、飯塚大輝、今坂直暉)