二〇二三年春の北陸新幹線県内延伸を見据え、米ホテル大手のマリオット・インターナショナルが同年、福井市のJR福井駅西口に進出する。中央大通りに面した「三角地帯」で計画されている再開発ビルに入る。同社の北陸地方進出は初。「観光後進地」の福井県で、国内外の観光客、ビジネス客の受け皿となり、市中心部の活性化にも弾みがつきそうだ。
 同社と県が十五日発表した。ホテル名は「コートヤード・バイ・マリオット福井」。約二百五十の客室、千人を収容できるホール、複数のレストラン、フィットネスジムなどを備える。現在三角地帯に建つユアーズホテルフクイが開発・所有し、マリオットが運営する。価格帯は未定。
 三棟で構成する再開発ビルのうち、最も福井駅側の「ホテル・オフィス棟」(地上二十七階、高さ約百二十メートル)に入る。コートヤードは同社が展開するブランドの中で最多の千二百軒あり、国内には東京・銀座、東京駅、新大阪駅、大阪本町、長野・白馬村の計五軒ある。進出は県の企業立地促進補助金(上限二十億円)の対象になるとみられる。
 県庁で会見した同社役員のショーン・ヒルさんは「宿泊者からは大都市だけでなく、地方にも行きたいとの希望を聞いている。福井だけではなく、北陸地方全体に行く旅行者に泊まってもらいたい」と述べた。
 同席した杉本達治知事は、新幹線開業を念頭に「(再開発)ビルの顔になると期待している。世界水準のホスピタリティ(もてなし)を持ったホテルが建つことで、県内の宿泊業やサービス業に見本にしてもらえる」と歓迎。富山、石川両県でも外資系ホテルの進出が決まっており、「福井市内に泊まるところがなく、夜は金沢に行かれることもあった。大きな武器を手にした」と話した。
 ユアーズホテルフクイの市橋信孝社長は「福井県全体のにぎわいの創出や活性化のお役に立ちたい」とコメントを発表した。再開発ビルは福井駅側からホテル・オフィス棟、駐車場棟(地上九階、高さ約三十六メートル)、住宅棟(同二十八階、同約百メートル)で構成する計画で、延べ床面積は七万二千平方メートル余り。二〇年末の着工を目指している。三角地帯には他の再開発計画もある。

 (鈴木啓太、山本洋児、長谷川寛之)
◆壮大な自然、海産物…魅力
 世界水準のホテルが三年後、県内に進出することが明らかになった。決め手は、外国人旅行者の地方志向と県が誇る歴史、自然、食など「ポテンシャルの高さ」だった。北陸新幹線の県内延伸や、県が誘致を念頭に設けた上限二十億円の補助制度も追い風となった。
 「福井は海や山といった壮大な自然、素晴らしい歴史的名所を持ち、豊富な海産物に恵まれた食の地。国内外から旅行者を引きつけられる」。マリオット・インターナショナル役員のショーン・ヒルさんは、県庁で開かれた会見で進出の理由をこう説明した。
 ヒルさんは会見前日に県立恐竜博物館(勝山市)と大本山永平寺(永平寺町)などを訪れて魅力を実感。「伝統工芸も盛んで、打ち刃物や越前和紙などの体験ができる。旅行者もとても喜ぶと思う」と語った。
 今回の誘致を主導したのは県だ。二〇一八年春から世界水準とされる複数のホテルと接触。その中で好感触を得たのがマリオットだった。同年九月には八十億円以上の投資や三十人以上の新規雇用などを条件に、上限二十億円(補助率25%)の補助制度を設けた。
 企業誘致課の職員は三十回ほど面談を重ね、立地の候補地や県内の魅力などをPR。その結果、特に海産物をはじめとした「食」に興味が示された。昨年六月には杉本達治知事も上京してトップセールスし、熱意を届けた。
 福井県は一八年、外国人延べ宿泊者数が七万六千人と全国四十六位だった。この状況を打破する要素の一つが北陸新幹線の延伸。首都圏に飽きた外国人旅行者は今後、地方の探索に流れる見込みで、そのタイミングが二三年春の敦賀開業と重なったことも奏功した。
 マリオットは世界に一億三千万人超の会員を持つ。関係者の一人は「会員はマリオットのように信頼できるホテルネットワークがあるところへ旅行する。福井県という知名度なんて関係なくなる」と見通す。

 (山本洋児)
 <マリオット・インターナショナル> 134カ国・地域で、最高級の「ザ・リッツ・カールトン」など30ブランド、7200軒以上、国内では12ブランド、44軒の宿泊施設を展開する。福井市で開業する「コートヤード・バイ・マリオット」は、ビジネス、観光など幅広い客層に対応する。福井県ではトップクラスの価格帯になる見通し。本社は米メリーランド州ベセスダ。