徳川家康による浜松城築城から今年で四百五十年となるのを記念し、家康にまつわるジオラマ作品が、浜松魅力発信館「ザ・ゲート・ハママツ」(浜松市中区)で展示されている。情景模型作家の山田卓司さん(60)=同市=が手掛けたもので、入城当時の家康や、武田信玄に敗れた「三方ケ原の戦い」のワンシーンを表現した精巧なジオラマが楽しめる。
 素襖(すおう)と呼ばれる金色の装束に身を包み、黒色の馬にまたがった家康。後の浜松城となる引間城に入城してから間もない一五七〇年夏、家康は庶民の生活を知ろうと、城下を回った。
 漆器の塗り師職人の家の前では、「新しい殿様はどんな人か」と興味津々の百姓や子どもたちが、家康を取り巻いている。「当時は上下関係が堅苦しくなく、平伏する習慣はなかった時代だったらしい」と山田さん。
 ジオラマは横百四十センチ、縦八十センチで、八分の一のスケールで表現。歴史家の磯田道史さんのアドバイスや、独自に集めた歴史資料を参考に、紙や粘土を使って三カ月かけて手作りした。こだわったのは、暗くて見えにくい家屋内部の様子や、怒っているでも、笑っているでもない家康の表情。
 山田さんは「家康の若いころの肖像画がなかったり、絵巻では細かい衣装の色が分からない部分もあり、歴史を想像しながら完成させた」と話した。
 会場では、家康が武田信玄に大敗した「三方ケ原の戦い」の場面を表現したジオラマもある。臨場感にあふれ両軍が激突する様子が伝わる作品となっている。甲冑(かっちゅう)姿の立体の家康像などもあり、市の担当者は「ここを入り口に、家康にまつわる市内の散歩道を周遊していただければ」と話す。
 展示は十月末までの予定だが、延長する可能性もある。
(篠塚辰徳)