富山出身芸人 石田さん
 介護や福祉を学んで作業療法士の資格を取得した富山市出身の男性が、夢をかなえてお笑い芸人になった経験も生かし、笑いとリハビリを融合させた活動を全国で展開している。その名も「介護エンターテイナー」の石田竜生(たつき)さん(36)が生み出した笑いたっぷりの高齢者向け体操は認知症や転倒予防にもなり、福祉施設やイベントで大人気に。爆笑に包まれるエンターテイナーの舞台を訪ねた。
 富山市婦中町広田の万藝寺に今月十一日、報恩講で地域の二十人ほどが集まっていた。講話の後の講演会で登場した石田さん。いきなり「五秒でおばあちゃんに変身」と言いながらトレードマークの白髪かつらをかぶって「八十八歳のたつ婆」になると、静かな本堂に大爆笑が広がった。
 その後も芸人ならではの話術が続くが、実際にやることは大まじめなリハビリ体操。「いつもの体操に何か一個、課題を入れるだけで脳が活性するんです」と呼び掛けて、できそうでなかなか難しい動作を伝授していく。認知症の予防になるという、左右の手で異なる動作を同時に行うトレーニングは思わず顔をゆがめてしまうが、笑いながらの進行で参加者の表情がにこやかになっていく。
 このような講演やセミナーを年間六十〜七十回も行う石田さんは、もともと看護師の兄と姉の影響で介護の世界を目指し、大学で作業療法士の資格を取得。地元の老人保健施設に勤めたが子供のころからのお笑い芸人の夢を捨てきれず、一年で辞めて大阪にある吉本興業の養成所に入った。
 以来、芸人をしながらパートで作業療法士をするという二足のわらじの日々。「中途半端なままでいいのだろうか」と迷い始めた三十歳の時、知人に依頼された介護施設のボランティアで、お笑いと体操を組み合わせてみると高齢者に大うけ。続けるうちに評判となり、介護エンターテイナーとして全国を飛び回るとともに、YouTubeでも体操映像を発信する。
 今回は万藝寺住職の清水達史さん(52)が知人を通じて依頼し地元開催に。参加した女性(79)は「いつも運動をやっているけど笑いながらはいいね」。老人クラブを世話する男性(77)も「高齢者は沈みがちになるのでクラブで応用したい」と満足そうだった。
 数年前からは介護職を対象にリハレクトレーナー養成講座も開いている。お笑い体操をさらに広めていくためだ。受講者を認定する仕組みで、既に百人以上を認定しているという。
 「お笑いを組み入れることで介護職のやりがいにもつながれば」と石田さん。みんなで明るく楽しむ介護の現場を目指していく。
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 この記事は十五日夕に放送した富山テレビ放送「中島流!深掘りTOYAMA」との連動企画です。中島流の次回は二十二日のライブBBT午後六時台に放送します。(放送日は変更になることもあります)